Takechang の冗談半分 #176  92/10/ 6 7:34

雨の高速

昨日僕は午後から横浜で仕事をするべく,8時に家をでた。

たぶん,普通に走れば12時には余裕で到着する。その後,食事をする余裕は十分ある。 はずだった。

すこし走っていると雨が強くなってきた。これはまずい。

僕の車は先週フロントホイールあたりから ごりごり という音が出るようになっていた。たぶん,ブレーキディスクが減ったのではないか。そう思って,かねて用意のENDLESSパッドに交換したのだ。案の定,のこりは約1mm,パッド中央部の摩耗限度線が消えていた(新品は約7mm。エンドレスの場合,通常2〜3万キロの寿命だというが,僕の場合,走行の7割が高速道路なせいか,5万キロもった)。

これでOK!と思って試走してみると,まだ ごりごり と音がする。ホイールの回転に伴って軽いショックもあるようだ。これはホイールベアリングかなんか?

自分では手におえず,修理に出して,代わりのくるまで来たのだ。この車は旧型シティで,ホイールベースは今の軽自動車より短い。回頭性はいいかもしれないが,直進性からいうとこういう滑り易い条件の時はいまいち不安だ。

おまけに中央高速はトラックの轍が深く,ちょっと強い雨の時にはすぐ水たまりになる。アクアプレーニング(ハイドロプレーニング)現象が起き易い条件である。この現象は高速速度(80〜100km/h)が一番起き易くて,それより遅くても,速くても起きにくい。

タイヤを水の膜が覆ってしまい,タイヤと道路とが直接当たらない状態になって,グリップを失う現象だから,速くて遠心力が大きくて水が引き離されてもいいし,遅くて,水の膜自体ができにくくてもいい。

今回も何度となくこの現象になった。慣れていれば,ただ直進を保って,スロットルは閉じ気味ににしていれば(同じだと,負荷が減るのでタイヤの回転が上がってしまい,グリップを回復したときにショックが大きい)何の問題もない。

しかし,慣れていなければどうなるか,というと,どうも本能的にカウンターを切ってしまうようである。カウンターがまともに当たれば技術としてはうまいのだろうけれど,まったくの素人でもカウンターをつい切ってしまい,そして多くの場合当てすぎである。しかもいまどきの車は多くがFFなので,グリップを回復した時にフロントタイヤの向いている方向に向かって走る。あるいは,高速なので,グリップを失う以前の方向に移動する慣性力が大きい場合は,カウンターが切れている=横に向かって走る力と,慣性の合力方向に動く。このため,よこ向きになったり,スピンしたり,運が悪いとひっくり返ってしまう。

今回も何台もガードレールに突っ込んでいる車を見た。ほとんど,直線のところでガードレールに向かって走行するという考えにくい動きをして大破している。つまり,グリップがなくなった時にとっさにカウンターをあててしまい,グリップが戻った時にタイヤの方向が横を向いているものだから,ついガードレール方向に走ってしまったということなのだろうと思う。

たぶん,こういうことは,普段,運動神経がいい事になっている人がかえって起こし易いかもしれない。ドンくさいといわれているような人なら,瞬間にカウンターが当たらないから,かえってもとの進行方向にタイヤが向いたままになっていて,安全なのだろうと思う。

新聞の事故のところなんかを見ていると,結構プロ野球選手とか運動神経はいいはずの人がこの手の事故を起こしているのが分かる。

雨の日は事故が多いというけれど,このような教育がなされてないことが大きいのではないだろうか。僕がここ7年ぐらい通っていて,高速の雨の日の事故のかなり多くがこのタイプの事故のように見える。

最近,交通事故が増えているのだけれど,こういう安全教育がなされないことにも問題があるし,こんなことは簡単に覚えられるのだし,それで自分の命が守れるなら安いものなのにやらない(いったい,こんなことを知らなかったとかいうことで済まされるだろうか?)ドライバーが一番悪い。

一般に,発ガン物質だのダイエットだのということには熱心なくせ,こういうすぐ見えるような安全対策は気にしない人が多いような気がする。

このあいだ,発表になった,日本損害保険協会によるシートベルト装着率の調査でもそうである。シートベルト装着率は,調査対象の90%以上がシートベルト着用は法律で義務づけられていることを知っていた。

にもかかわらず,一般道路では50%,高速でも70%しか装着していない。特に若いドライバ10〜20代では一般道路で30%,高速でも50%しか装着していない。

シートベルトも万能ではないから,ベルトをしていたおかげで被害が大きくなったという例もないではない。

だけれども,いまシートベルトは全ての車に必ず装着されている安全装置である。このようなものを利用しないのは不思議でしょうがない。エアバッグなどはエクストラの金額を払わなくては手に入れられないけれど,もともとついているこのような安全装置を使わないくせ,発ガン物質を気にしていたりするようなのはヘンな話である。

あと,イナカでよく見かけるのが,赤ん坊をおぶったまま運転している母親。これなどは,子供をクッションにして自分だけは助かろうというのだろうか。

衝突の衝撃が加われば,赤ん坊はまず間違いなく内臓破裂だと思う。時速10kmで走っているなどということはあまりなくて,たいていはもっと速いと思うが,10kmの衝突でも,人間の手や足の力では自分を支えられない。

それとも,日本人得意の,自分に限ってウチの子に限ってというやつで,事故は起こさないと思っているのだろうか。思うのは勝手だが,事故は確率的に起きてしまうし,このような散漫な運転をするような人の場合はもっと割合は高いはずだ。

あと,シートをやたら倒している助手席の若い女。こうすると確かに一見乗っていないように見えるが,「こんな男」と一緒にいるところを見られたくないというのか,それなら乗らなければいいのに,そのくせ「こんな男」に命を預けて車に乗っているのである。こういう姿勢はたとえベルトをしていても,急ブレーキやスピンなどでリヤウインドウから飛び出してしまいやすい非常に危険な姿勢である。

いろいろな意味で今の交通事故事情は人災である。ちょっと気を付けるだけでたぶん,半分ぐらいは防げる,あるいは事故になったとしても,死なずに済むのではないだろうか。

いろんなところでセコい日本人なのに,自分の命はそまつにしている。訳の分からないことである。

さて,昨日は最終的に相模湖の先で事故のため中央高速が閉鎖になってしまった。このため,相模湖はひどい混雑。12時まえにつくどころか,走り続けて1時ぎりぎりにつくのがやっとで,昼食は食べ損なったのだった。

食い物のウラミは恐ろしくて,ついこういう文章になったというわけだ。

TAKECHANG

Takechang の冗談半分 #176  92/10/ 6 7:34