Takechang の冗談半分 #420  93/ 8/ 7 11:35

プータロー日記 44>
既得権意識

難航した首相選びがやっと終わった。

最後までモメにモメたようである。

首相指名投票のおり,一部の自民党議員の氏名が読み飛ばされるという珍事があり,投票をやり直すというおまけまで付いた。

とにかく一連の投票は終了し,細川首相が誕生した。

これで,いわゆる「55年体制」が完全に終わりを告げたことになる。長かった。僕にとっては生まれて初めての政変?ということになる。

候補者選びから首相誕生までの一連の流れでめだったのは,自民党の既得権意識の大きさだったと僕は思う。

首相に先立つ衆議院議長選びも難航したのだが,この原因は何と言っても,「とにかく1つの党としては最大の議席をもつ自民党に議長を出させるのが慣例だ!」という,自民党の強硬な主張にある。

別に法律でもなんでもない,単なる慣例に過ぎないのであるが,いままでやってきたことだから同じようにするべきだという主張である。

これで,話がこじれた。最終的には要するに法律にある通り,投票によって過半数を獲得した社会党の土井元委員長が議長に当選したのであるが,投票で決着するまで数日を要した。

一般社会ならば,こんなことはそれこそ「常識的に」許されないことではないか。

「本来やるべき選挙を回避する談合」のために日数をかけるということは,つまり,税金で雇用している国会職員の手当その他で,要するにムダに税金を使うということである。

不況ということで,民間企業では1分でも1秒でも会議を早く終わらせるようにしている時代に,国会議員だけがあいもかわらずのバブル感覚なのである。

それどころではなく,自民党議員は執行部が投票で「妥協」(本来そうあるべきものを妥協というのはおかしいと思うが)したことについて不満を持っているようだ。



中村正三郎(電脳騒乱節)

朝日新聞によれば,梶山静六前幹事長は,「自民党も成り下がったものだ。なぜ(議長をあきらめて),副議長を出さなくてはならないんだ。1週間でも10日でも粘ればいいんだ」と各派協議会のメンバーである中村正三郎氏(ざべの電脳騒乱節の人と同じ名前!)にどなりちらした。ということだ。

党の利益のためならば,税金なんぞはいくら使ってもいいんだ,という意識がはっきりしていると思う。

こういうのは実は細川政権の後押しになっているというのを,ご本人は意識しているのであろうか。

世界的にも汚職等に敏感になっている今,こんな発言をしている党にまた政権をまかせたいというのはたぶん小数派ではないか(そうありたい……?)。

自民党が次の選挙で政権を回復することを狙うなら,こんな発言は単にマイナスになるだけだと思うのだが……。

新聞も単に事実として書いているだけであるが,そのことはこういった「既得権意識」が日本人の隅々までしみこんだものであることを示すのかも知れない。

卑近な例であるが,昨晩こんなことがあった。

僕の町には社会人に英語(もちろんほかの言語も)を教えるシステムがなかった。

中学校の講師の英国人が先月帰国するまえに数回授業をしてくれたので,30人ほどが集まった。そして,その席で「継続的に勉強できるようにできないか」という話がもちあがって,昨晩有志15人ほどが集まったのである。

「英語クラブ」なるものを作るという話だった。

ところが,その席で町側から,「5年後の冬季オリンピックをにらんで,その時に通訳者のボランティアを養成する目的で,教育委員会が英語教室を行う」という話が示された。

英語教室の設立にあたっては,英語クラブの人に運営等について話をききたいから,ついては英語教室に優先的に入れるという。

一見いい話?のようで誰も異論をはさまない。

あまりめだつのも嫌だったが,こういうおかしな話は放っておけぬ。

僕が一人で反対して紛糾してしまった。

しかし,考えてみてもらいたい。英語クラブなんて,たんなる有志の集まりである。

一方,英語教室は町の公費を使うものである。

つまり,税金を払っている町民全員に均等に機会が与えられなければおかしいのである。たとえ,最初に設立に対して智恵を貸したとしても,それは単に好きでやっているだけのことで,公費を使う事業に対して,町職員の一存で優先されるなどということがあっていいはずがない。

だいたい,すでにいつから設立されるとか,いつ募集するというような内部情報がリークしているのだから,それだけでも既に相当に優遇されているのである。

我々民衆のレベルからして,こういうことになんとも思わないようになっているということである。

最近,政治家に対していろいろいうけれど,政治家だけを責めても意味の無いことなのである。

とにかく,「疑惑の」と肩書き?のつく人でもトップ当選するのは我々選挙民が選ぶからにほかならない。心底こういうことに慣れきっている我々が,政権がかわったからといってかわっていけるのであろうか。

寂しいことであるが,僕にはどうも疑問なように思えてしかたがない。

竹中 俊

Takechang の冗談半分 #420  93/ 8/ 7 11:35