Takechang の冗談半分 #438  93/ 9/ 2 17:25

プータロー日記 53>
AET

このところ,僕は比較的多くの時間を英語を習う事に使っている。

とにかく,COMDEXなどに行っても,まともに話もできない負い目?というのは大きい。

国内にいれば,簡単な事が,なかなかうまく聞き出せない。

とはいうものの,「なんとかしたい」と思っても,サラリーマン時代ではなかなか習うこと自体むずかしかった。

都会ならば,こっちの時間に合わせて1対1で講習をしてくれるシステムもあるらしいが,僕のいた丹沢山中ではそれはなかったし,たとえ厚木ぐらいまで出ればあったとしても,ビンボーだから無理なのである。

いまや,もっと田舎にいるわけだから,よけい困難か? というとさにあらず。

むしろ,安くて親身に教えてもらえるシステムが田舎にはあるのである。

それが,AETの存在だ。

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もちろん Akizuki Electronics Trading ではない。

Assistant English Teacher または,Assistant Language Teacher である。

おおむね全国の市町村に1名ぐらいは派遣されていて,中学校や高等学校の英語の授業の時に発音その他を教えてくれる先生である。

なんでAssistantか,というと日本の狭量なシステムは,日本国籍を持たないものを公立学校の正規の教官にさせないからである。

逆に,日本国籍があれば英語教諭の免許が無くとも,英語の教壇に立てる。

恩師を悪く言いたくないが,僕の中学の時の英語の先生は,そのたぐいだった。

敬虔なクリスチャンの先生で,「俺のようなもので悪いなあ。英語の先生が足りないもんだから……」と生徒の我々に謝り,50の手習いの英語教諭を一生懸命にやってくれた。リベラルであるがゆえに昇進できず,退職されるまで現場教諭だったエライ人である。

しかしそうはいっても,英語の能力不足はどうにもできず,僕らは高校に入ってからガクゼンとすることになった。

都市部の中学から来た連中などは,いとも簡単に文法問題なんかをやってのけるが,高校の教科書のスタートの前提となっている中学の文法なんかを,僕らはまるで知らなかったのである。

どうやら,先生は文章を読ませて,訳させる,そこまでで精いっぱいで,文法までとても手が回らなかったらしい。

まあ,それでも高校を出るまでガイジンなんてTVで見るぐらいのものだったし,特に困る事もこの先なかろう,と思っていた。

実際には,20代も後半になってから,いきなりガイジンさんと仕事をするハメになり,たった休憩でお茶を飲むだけに大苦労することになったのだが……。

今はそんなことはなかろうと思う。少なくも週に1ぺんやそこら,ネイティブの授業があるわけだし,だいたいアメリカ,英国,ブラジル,コロンビア,中国,ソマリア……と僕の町にもガイジンさんはいっぱいいて,しょっちゅう街であうチャンスもあるのである。

だから,ほんとは,中国語やスペイン語もできるといいのだが,僕にはまだそこまでの力はない。

英語については,AETの人たちが,公民館や勤労者福祉センターその他で教室を開いてくれる。県や町の補助があるから,ほとんど教科書代ぐらいでOKで,これならビンボー人の僕にも習えるのである。

行ってみると,僕は苦労した割には何も進歩していないつもりだったが,少なくも,はじめてガイジンさんと話す人よりは圧倒的にマシにはなってきているということがわかった。

とにかく,「ううう,いま私はジンガイと向かい合っている! おおおお……!」とそれだけで感激してしまって,分かる話もできない,なんてことはないからだ。

で,今は週に2〜3日は話しているので,大抵の日常会話には問題がなくなってきた。やはり,しょっちゅう話している,しゅっちゅう使うというのが上達への道なのである。

それでも,まだCNNニュースは完全には分からない。

一つには知らない単語があるということもあるし,英語の先生たちのように,ゆっくりはっきり話してくれないからである(このあたり,高田さんの「アメリカの雑誌を読むための辞書」あたりをちゃんと勉強していればいいのかもしれない)。

しかし,現実の街にでたら,ニュースなんてアナウンサーだからとうぜんはっきりしているほうの代表格である。言葉そのものが良く分からない分,カンや機転をきかすことのほうが重要になってくる。

こんな程度の能力では,契約をしたりといったビジネスシーンの役にはたたないが,ホテルに客として泊まったり,ネイティブでない人たちとの意志の疎通の手段としてはまあまあ最低線クリアだと思う(こないだ,松本からヒッチハイクで乗せたチェコ人とはまったく支障なかった)。

とにかく特に別途習わなくても,中学,高校と6年英語を習えばこの程度にはなる,そういう教育で無ければあまり意味がないだろうと思う。

年に1000万人も海外に行くというのに,こんな程度の話もなかなかできる人がいない日本の英語教育ってなんなんだろうか。

AETの採用をもっと進めて,A(Assistant)を取ってもいいのではないか。

やっぱり,言語の教授はネイティブに限ると思うし,だいたい日本人は言語能力がかなり低い民族なのではないか,という気もするのである。

いままで会ったAETの人たちは,だいたい23〜4歳,在日1〜2年ぐらいであるがどの人も日本語はまったく問題なくしゃべるし,たいてい漢字の読み書きもできるようになっている。日本に来る以前にはせいぜい大学で日本語を習ったぐらいで,ほかに特別なことはしていないというから恐れ入るではないか。

やっぱりモチは餅屋,英語はネイティブ,これではないかと思う。

大勢のAETによって,日本と英語圏の相互理解がもっと深まれば,それもいいし,英国などは深刻な不況下にあるのだから,優秀な人がきてくれるのではないだろうか。

竹中 俊

Takechang の冗談半分 #438  93/ 9/ 2 17:25