Takechang の冗談半分 #442  93/ 9/ 8 12: 2

プータロー日記 56>
信州博

「こんなもん,北のほうの土建屋はオリンピックで潤うけど,真ん中から南はそれがないから,なだめるために,先にやっとんのと違うか」などと悪態をコイていた僕であるが,子供にせっつかれてシブシブ行ってきた。

とにかく,学校で2000円かなんかする入場券をタダくばっているので,行かないと肩身がせまい?らしい。

で信州博というのは,何か,ということは英語表示のほうがわけが分かるようだ。

公式な表示は,Japan Exposition in Shinshuというのである。

パビリオンによってはこれを日本語から直訳したらしいShinshu Expositionと書いているところもある。

が,「日本博覧会の信州でやるやつ」というのは内容をはっきり言っていると思う。

どうも,こういう時日本語表記というのは誇大というか,ウソっぽいようだ。

一言でまとめれば「ありがちなEXPOつーのを長野県でもやってみたよ」ということである。

どこを見てもなぜ信州であるか,という必然性は希薄な感じがした。

ただ,商売はうまかったらしい。あと20日ほどを残して,予定入場者数(ということは,それだけ入ればペイするという意味であろう)160万人を越えた(ということは,2000円に160万人をかけると32億円かかったということ?)。

昨日もかなりな雨だったので,「入場者数が少ないのでは?」と予想してねらって出かけたのだが,公式FM局の朝の予想で2万7千人と決して少なくない。

巨大な駐車場は確かに7割程度の車の入りだったが,シャトルバスに乗るまでに20分ぐらいかかった。

この天候で比較的人出が少ないにしてこの状況では,晴れの夏休みで5万人とかの時はなかなかひどかったのではないか,と思うが,そういう批判のようなものは今まであまり目にしたことがない。

SINSHUC.JPG

さて会場では,子供連れなので,まっさきに観覧車などに乗せてやらなければ承知しない。

上空からみると,隣の広大な敷地では松本空港の拡張工事が行われていた(来年春完成予定。前はYS11しか発着できなかったのが,この拡張により,ジェット機が発着できるようになる)。ここの博覧会の土地や,駐車場の敷地も隣り合っているのだから,その時は飛行場の土地になるのだろうか?

あと,リサイクル館。ここでは会場で出たごみの一部を再生している。ごみのプラスチックで作った植木鉢をもらった。

こないだ見たTVで「廃プラスチックから石油を作る」技術がここの紹介といっしょに出ていたので,そういうのもやっているのだろうか,と思ったのだが,無かった。

町の発明家のようなヒトが発明したその技術は,なんでも,たった2段かそこらの化学反応を行うだけで,灯油に近いアブラができてしまうらしい(例によって,資料がなくなってしまって詳細不明。マーフイの法則:必要な資料は必要なときには出てこない )。

これこそ本当のリサイクルだと思ったのだが,リサイクル館では,植木鉢と,あと硝子分を使って花瓶その他を作り「芸術」ということで30〜50万円で売る商売が行われていただけだった。

ODOROKIC.JPG

あと,いろんなアトラクションがあるのだが,どこも60〜90分程度並ばないと入れない。雨の中でこれは結構きびしい。

ひまそうな展示館ばかりまわっていたが,それでも1つぐらい,ということで,藤城清治氏の影絵を見せるシルエットファンタジーに行ってみた。

藤城氏は以前朝日新聞の日曜版にずっと連載していた人だ。

提供会社は東京電力,中部電力,関西電力。長野に電力供給していたり,発電所をもっている会社である。

この館では,いきなりコンパニオンの日本語に笑えた。「おゆずりいたしますよう,おねがいします。」「カサはふくろにいれて,おもちしてください。」「5分間早めてご入館いたします。」ここまでくるともはや日本語の「ゆらぎ」などと言ってはいられない領域である。

それに,これらの発言はアドリブで個人のコンパニオンがやっているのではない。上記の3つとも別のコンパニオンがアナウンスした内容であるし,発言の前にはインターホンで指示が出ているのである。

明らかに,原稿があっての発言であると思われるのに,これである。

とすると,これはやっぱり電力会社の体質そのものが見えているということなのだな,と僕は感じた。

「電気もくれてやって,その上アトラクションまで見せてやっているのだ。ありがたく頂戴いたせ」というおカミの体質である。

ちょっとしたところに見えるものなのだ。なお,いまの若い女性のやることで,ある程度の発言のゆらぎはどこでも見られたが,ここまで徹底したのはさすがにここだけだった。やるな電力会社。

内容も,公害等で地球が危ない,それを主人公の少年が救うという「ファンタジー」で,このあたりまでは「そうか,きっと原子力発電所なんかがあるから,地球が危ないってことなんだな。さすが,電力会社は問題に正面から取り組む」と納得していたのだが,どっこいさすがに「ファンタジー」,月の砂を持ってくるとかいってごまかされてしまったのだった。

雨は夕方まで降り続き,それでも閉場まで(こういうことばも耳慣れない。一瞬,平壌かと思った)ねばって,夕闇の信州博を後にした。

でも,やっぱりこれの価値ってなんなんでしょうね?

竹中 俊

Takechang の冗談半分 #442  93/ 9/ 8 12: 2