Takechang の冗談半分 #459  93/10/19 0: 9

プータロー日記 61>
秋の味覚

「近所の人が,マツタケとって来たんだって。ウチの山の近くだよ」という話で始まった。

今年はマツタケだけは大豊作で,市場価格はいつもの半分だとか言うが,それでも高い事は変わりが無い。

そういえば,ということで気がついたのが,我が家にも少しばかりの山があり,それは松の山だということだ。するってーと今年あたりは,マツタケがあってもおかしくないかもしれない。まして,すぐ近くの山でマツタケを取ったという人がいるぐらいである。

じゃーいってみるじゃん,といって家族全員で山に出かけたのが,日曜日の午後。フィールドワークの場合,「早起きは三文の得」ということがあるのだが,分かってはいても我が家で早起きなんてできるわけが無いのだ。

山に到着するとみんな軍手をはめて,スーパーの買い物袋を装備し準備OK。早速山に入る。あれあれ,というかやっぱり,というか山は足跡だらけだ。

近年,大抵の山は地主が「許可なく立ち入りを禁ず」とかしてあって,ウチの山のように入り放題のところは少ないので,それこそ山のようにキノコとりの人が来ているらしい。ということはある程度いろいろ取れたということかどうか?

残っているのは当地で「ずいこんぼ」と呼ぶ雑キノコばかり……。それでも,やっぱり豊漁にはちがいなく,1時間ほどで結構全員たせば買い物袋いっぱい取れた。

まあ,目的のマツタケは全くないものの,とにかく食用になるキノコが取れたので一応いいとするか。ところが,3時になったのに妻と娘が帰ってこない。

バアさんが「あっちのヒツジでも見に行ったかも?」というので,ジンギスカン焼き用に飼われているサフォーク種のヒツジ小屋を見にいってみた。

人影はないが,林の中のヒツジの囲いのところでは番犬がワメいていて,近づけない。しょうがないので,帰ってくる途中,林の小道の脇に大きいクリの木を見つけた。

下には大量にイガが落ちていて,見ると中には大きいクリがいっぱいつまっている。林の道沿いのクリはほとんどすべて持ち去られていたが,ちょっと中に入るとだれもやってこないらしい(あの,ウチの山だよ)。

ということで,この山の恵みも,僕一人でズボンと上着のポケットにはちきれるぐらい取れた。そのうちに遠くで娘のわめく声がする。どこかから帰ってきたようだ。

そこでみんなを呼び集めてさらにクリ拾いをした。15分ぐらいで,これまたスーパーの袋にいっぱい取れた。

「マツタケはなかったけど,大漁だねー」と帰るとちゅうの田園地帯。妻が「そういえば,今年はイナゴが大発生だってよ」という。

当地では昔から山の寒村のゲテモノ食いの1つでイナゴの佃煮の習慣がある。

僕が子供のころは稲刈りの時の子供の仕事というと,このイナゴ捕りで,稲刈りが終わったあと,母が佃煮作りをするのが日課だった。

昔の山国では貴重なタンパク源だったのだと思う。近年は,農薬の空中散布などが行われ,イナゴをみる事はほとんどなかったものだ。

ところが,ごく最近では無差別な農薬散布が批判されはじめたことと,そのためにできるだけ狭い範囲に農薬が届くように散布ヘリを超低空で飛ばしたところ,ヘリの事故が激増したことなどから,空中散布は行われなくなった。

そこで,イナゴが激増しているらしい。妻の言では「昔,稲刈りで捕った時みたいにいっぱいいるらしいよ」という。とにかく,昔はほとんど無尽蔵にイナゴがいたのである。

なんかの映画のアフリカのイナゴの大群みたいに空が暗くなるほどではなかったが。

とにかく,イナゴなら害虫だから捕ってもだれも文句は言わないから,イナゴとりもしてみよう,ということで,田んぼへ。

今年は空前の凶作だというが,このあたりは別にどうこうないようだ。いつものように稲が頭をたれている。

ここは特に寒冷地ではないし,コシヒカリなどブランド米産地というわけでもないから,単に収量がとれて,虫や冷害に強くて手間のかからない品種が多い。

今年,なぜひどい凶作であるかといえば,本来コシヒカリやアキタコマチなどの「うまい」といわれる品種はそれほど虫に強かったり寒さに強い品種ではないが,高く売れるから,本来こういう品種には難しい土地でもこういう米を作ってしまった。そのため,天候の異変がより以上に響いたのだと百姓の人から聞いた。

いまの工業の状況もそうであるが,あまりにも,目先の経済に走りすぎた結果がこういうことになったようである。だから,今年の不作はかなり人災の部分が大きいように思う。はたして我々はこれで目がさめるだろうか。

さて,イナゴはというと,いるいる。ほんとに昔,子供のころにとったように無尽蔵にいる。まだ刈取を終わってない田のほうが(エサの稲があるから)多くいるが,これはやたらに入るわけにはいかないから,草むらのある土手とか,田んぼのそばの畑で,すでに枯れ木となったトマト畑とかをねらうわけだ。

イナゴは植物を食べることに関しては非常に獰猛であるものの,動きはかなり鈍いから子供でもいくらでも捕れる。

これまた30分ほどでスーパーの袋いっぱいである。

ということで,日暮れには3つの袋が満杯で帰還,我が家にとっては実りの日となった。

竹中 俊

Takechang の冗談半分 #459  93/10/19 0: 9