Takechang の冗談半分 #460  93/10/27 10:55

プータロー日記 62>
秋盛り

最近,里の紅葉も進んできて,いよいよ秋本番である。

僕は写真の勉強の助けに,と風景を撮りはじめて1シーズン目なので,このところ,あちこちの紅葉を撮影に出かけている。

現在,紅葉前線は2000〜1000m級の山というところだろうか,里の色付きはもう少し先になると思う。

まず最初は北アルプス乗鞍。

NORTHC.JPG

> GVM9:
> NORTHC.JPG TAKECHAG 93/10/26
> (紅葉:北アルプス乗鞍安房峠より焼岳方面を望む。)

ここは3000m級で,紅葉の季節は早いし,またすぐに終わってしまう。

写真は乗鞍から下りてきた安房峠から隣の焼岳をみたものだが,この時はまだ冠雪していない。

先週,初雪がきて,乗鞍スカイラインはすでに長い冬ごもりにはいった。また,来年の5月まで閉鎖である。

手前の紅葉の色は言われていたように,今年はあまりきれいではないようである。夏の天候不順の影響で赤がいつもの目のさめるようなものではなく,ちょっとくすんだような,茶色っぽい赤である。

ただ,10月に入ってから天候が順調であったため,段々下の方に下りてきてからの紅葉はなかなかいい色が出はじめている。

次の写真は中央アルプス恵那山のものだ。

CENTRALC.JPG

> CENTRALC.JPG TAKECHAG 93/10/26
> (紅葉:中央アルプス恵那山。)

長野県側から岐阜県にぬける林道は,途中から舗装がとぎれて雨の流れでえぐられた,がたがたの未舗装路になる。

しばらくこの道と格闘すると現れるのが,小さな,ほんの10mほどのトンネル。

写真はトンネルから道下の沢の斜面の紅葉を撮ったものだ。乗鞍に比べ,赤の色が鮮やかになっているのが分かると思う。

行ったのは土曜日だったので,下の沢では豊橋から来たという若者グループがテントを張っていたが,撮影の後,氷まじりの冷たい雨が降りだした。彼らの夏テントでは夜をすごすのはかなり厳しかっただろう。

山の天気は変わりやすいのである。

3つめは南アルプスの前山「野田平」の紅葉と黄葉。

SOUTHC.JPG

> SOUTHC.JPG TAKECHAG 93/10/26
> (紅葉:南アルプス野田平。)

ここは平というだけあって山と山の間を縫って沢づたいに入ったところだ。だから標高はあまり高くなく(だいたい1000mちょっとというところか),まだ紅葉は始まったばかりというところ(3日前に撮影)である。

さて,紅葉は微妙な色がまぜあわされていて,電子画像にはなかなか厳しい被写体である。色数が多いので,ドット数がいつもと変わらない割には圧縮率が悪くて,大きいファイルになってしまっている。

ぼくは,いつも1024*768の256色(VRAM 1MB)のモードで写真を見ているが,今回は800*600の65000色にしてみた。

さすがにこのぐらい微妙な色合いだと,6万色と256色ではけっこう差が分かるようだ。それでも,やっぱり色数より画面のドット数が多いほうが気分は出るかな,という気がする。面積階調だか,コサイン分散の手法は本来16色しかないはずの強誘電ディスプレイをも26万色相当にしてくれるから,実際の差は6万と256で感じるほど,そんなに大きくはない。

ま,今のところVRAM 1MBというのがナミのビデオカードだけど,2Mや4Mのカードというのがすぐに標準になるのだろうから,しばらくするとこんな小技もかませなくて,大画面で多色があたりまえになるのかもしれないが。

ただ,液晶ディスプレイに関しては少し注意しなくてはいけないようだ。

どうも256色表示の液晶ディスプレイとCRTでは差があるような気がしていたのである。その原因を思いついた。

つまり,256色で(もっと)多色の表示をする場合,階調を面積展開するのと同時にカラーパレットをその画像に最適になるよう変更する。ここが問題なのだ。

CRTならば,各色256階調のどこのパレットに展開されても,もともとCRTは1600万色可能で(というか,アナログだから,理論上は無限色かもしれない)256色しか出ないのはビデオカードのせいだけだから問題は何もない。

ところで,液晶ではどうだろうか。「XX色中X色表示可能なパネル」ということでは液晶テレビなどはだいたいアナログドライバになっているから,1600万色でも問題ないはずだ。

ところが,配線抵抗その他の問題でVGAサイズの市販LCDはだいたいデジタルドライバのようだ。すると,いまのところ,各色4ビットで4096色ぐらいが普通で,IBMのマルチメディア用のやつのようなとくに多いのでも26万色である。

だから,現実に表示できる色数というのは,4096色中の256色とか,26万色中の256色ということになる。まあ,26万色ぐらい母数があれば1600万とあまり見分けが付かないかもしれないが(だから,IBMはマルチメディアといって,これを画像用としているのだろう),通常の4096色とかのパネルだと出ない色も多いということだ。これが,どうも「同じ256色でも液晶のほうがCRTより見栄えが良くない」理由ではないかと思う。

だから,いまのところ,「画像はやっぱりCRT,ですね」ということになる。

それで,この前のデータショーやエレショーでレポートした,自発光系で薄型のCRTやプラズマといったディスプレイは要注目のデバイスなのである。
(プラズマは液晶と同じくデジタルディスプレイであるが,CRTと同様に色を出すのに蛍光体を使用しているので,LCDより階調は切りやすいと考えられる。)

こういった具合をみるのには,紅葉は最適で,3枚を同時に読み込んでみるとパレットが違っているから,どれかかっトンでしまうものがでたりする。

まあ,これも時間が解決する問題(つまり液晶でも多階調で問題なくなる)かもしれないし,(いまのままでも)一般にはそれほど神経質になることもないのかもしれない。

というのは,もう1つ階調の具合をみるのにすごくいい(というか難しい)被写体には人肌というのがある。

微妙にカーブがあるから,地色と陰の具合が連続的に変化し,超多色になっているのである。週刊誌のグラビアとかではだいたいこういうのを扱っているが,印刷でも非常に厳しい被写体と見えて,ハイライトの部分がつぶれていたりすることが非常に多い。それでも,特に文句がでたという話も聞かないところをみると,「要するに見えればいい」需要が多いということなのだろう。

竹中 俊

Takechang の冗談半分 #460  93/10/27 10:55