Takechang の冗談半分 #514  94/ 3/13 21:43

プータロー日記 92>
1年たった

プータローシリーズも1年が経過した。
ということは,つまり僕がプータロー化?して1年たったということ。

振り返って見ると,やっぱりサラリーマンって楽だったなあ,というのが一番の感想であろうか。

蓄えもなく,才能もなく,コネもなく,「なんとかなるべい」でサラリーマンをやめてしまって,そのうえ不況ということで,どこのサイフのヒモも堅く閉じられている。今,プータローに対して世間の風は冷たいようである。

サラリーマン時代はビンボーであったことはかわらなくても,それは「余計なことをするから」ビンボーになっていたのであり,今回は「余計な事もできない」ビンボー人,つまり正真正銘のビンボー人化してしまったわけだ。

とはいえ,一見毎月の稼ぎは変わらないように見えるのにどうしたことか? と思うと結局大きいのはボーナスの存在のようだ。

これが3カ月づつとすれば,都合年間18カ月分の給料をもらっていた訳で,プータには当然ボーナスなんてものは無いわけだから,毎月同じぐらいといっても年間通しで見ると2/3にしかならないのである。

それからプータの場合は時間制だから,働いた時間ともらう額は比例関係にある。ところが,まともなサラリーマンの場合は年休制度があるから,ある程度までは働かなくとも一定の給与が保証されるし,あと手当,つまり役職とか家族とかによってまたもらえる金額が違う。

そういうわけで,プータのみいりは思った以上に少ないものだ,とわかった。逆に言えば,現在サラリーマンである人にはいろいろ文句はあろうが,働きの割にはサラリーマンの給与は手厚い(感じがする)。

あと,田舎暮らしは経費がかからないように思ったのも結構誤算だった。都会にはホームレスの人がいても,田舎にはいない理由は実は「田舎では金がなくてもやれるから」ではなく,田舎ではある程度以上に金がないとやれないから,ほんとうにない場合は「みんな都会に流れてしまう」ので,田舎にそういう人がいないということのようである。

工業製品は同じものなら田舎のほうがネダンが高いし,食料品は品質は確かに田舎のほうがいいものの,価格は別に変わらない。また公共交通機関がないので,自分で動かねばならず,つまり車代は必ずかかる。

結局田舎のほうが金がかからないように見えるのは,多くが住居費に関するもののせいのようである。

ということで,いまは,いわゆる小遣いというものはなし。仕事にいって休憩の時にコーヒーぐらいのみたいと思えば,それは水筒にお湯を持っていってネスカフェを飲むとか……。こうすれば1杯10円ぐらいだが,カンコーヒーなら110円,紙コップの自動販売機でも70円……,超セコ技の登場である。

以上はプータロー化して悪化した事態。

良くなったことは,やっぱり家族と毎日一緒にいられる事か。特に子供は中学生ぐらいになればもう親なんて関係無いみたいになってしまうから,そうなる前に一緒に遊べる時間が出来たのはよかったと思う。

あと,健康面の改善も大きい。サラリーマン時代,僕はいつも疲れていて年間カゼを引いていない日のほうが少ない感じだった。そのうえいつもぎりぎりの睡眠時間で何とか起きている感じ。いつか,車に乗っていて居眠り事故で死ぬかもしれないな,とも思っていた。

今はそういう事はない。この1年間,以前から考えるとウソのように,カゼを引いたことは1度もなかった。「僕は体が弱いんだ」と思っていたけれど,どうもそれよりは無理のしすぎというところだったらしい。

それから時間ができたぶん,英語を習ったり,写真を習ったりできた。

僕は子供の頃から幅広いつきあいが出来る人間ではなく,何というか私的には波長の合う小数のひととだけつきあって来たし,仕事上もそれで済むような職業をしてきたから,たとえば年齢が親子どころではなく孫とじいさんばあさんぐらいちがう人とか,異常に英語好きなおばさんたちとか,いままでぜんぜんつきあった事がない種類の人たちとのつきあいが始まったわけだ。

GVに出入りするようになったおかげで,バックグラウンドの違う人たちとのつきあいが少しできてきていたものの,この1年のほうが自分にとって新鮮なことだった。あるいは,いままであまりに人様に比べて世なれしていなかったというか。

大体,学生時分には「英語,英語……」というやつや,写真なんてやっている奴は軟弱者で嫌いなタイプで,ろくなもんじゃないと思っていた。ところがいまではそのどっちとも自分がつきあっていて,世間から見ると(ぼく自身)あてはまってしまっているかもしれないのだから,人間変われば変わるものである。

というような訳で,金とか地位とかは失ったものの,それ以外の点ではプータロー化してよかったと言える。

2年目。「それ以外は」というようなエクスキューズをつけないで「良かった」といいたいものだが,さてどうなるだろうか。というか,それはサラリーマン時代のようになるとかしてくれるものではなくて「する」ものなのだが。

竹中 俊

Takechang の冗談半分 #514  94/ 3/13 21:43