Takechang の冗談半分 #237  92/11/22 20:39

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Amtrak 4

さらに列車はサンタフェ渓谷を走る。

16:18
あと数分でSan Bernardino到着とアナウンスが入る。

16:25
San Bernardino到着。結構大きい街のようだ。山がなくなって,地平線が見えるようになったら,まだ,真っ赤な日が出ている。しかし,だんだん暗くなってきた。車内に明かりがともる。2分停車で出発。

例によって,天井を照らす間接的な照明だ。なんとかノートが読める程度になっている。

16:55
もうまっくらになった。平行してかなり広い,片側4〜5車線のハイウエイが走る。車もすでにみんなライトを点灯している。スポットライトが点いて,イスの所だけが明るい。

17:20
あと6分でFullerton到着,のアナウンス。

17:25
Fullerton到着。駅舎には明かりがともり,街灯が点いている。大勢の人が出迎えに出ていて,なかなかの風情だ。列車全盛時代のような気分になる。San Diego行きSanta Fe鉄道に乗り継ぎの人はここで降りろと言っている。数分後にSan Diego行きが出る。どこから,と言っているが聞き取れない。33分発車。

あと25分でLAに到着する,というアナウンスが入った。いよいよLAだ。

17:55
そろそろ遠くに街の明かりが見えてきた。回りは倉庫街で大型のトレーラがずらーとならぶ。貨物列車とトラックの乗せ換え基地のようだ。

18:00
到着。どういう訳か列車の電灯が落ちた。暗い中,手探りで階段を降りていると,またつく。乗換はあっちのホームへ,出口はちょうどここの地下道を,と車掌がどなっている。駅まで荷物運びは,ホームにいる赤い帽子の男の所に行け,代金は$1と言っている。結構遠いのだろうか。

僕は荷物を持って,高校生ぐらいの女の子2人連れ(ほとんど,カラッポのような,小さなバックパックだけを持っている所は日本の若い人と同じだ)の後について,明かりのともった地下道を歩いた。

赤帽は今時自分で持ってくるのではなく,5〜6人の客を乗せて電気自動車のカートのようなものに乗って追い越していった。

100mぐらい歩くと駅舎に着いた。

以後は,LAのホテルで書いた通りだ。もう少し補足すると,ここの駅舎は昔の教会かなんかのような作りをしている。教会というより,何かの集会所かな? ちょっと高い塔があって時計塔になっている。

内部は磨き上げられた木目,天井が高くて上からシャンデリアが下りている。ちょっとアメリカというよりヨーロッパ的な感じがする。

着いた夜は焦って,ホテルに一直線に行ったので,あの,まるこちゃんのいたカウンタにあった列車の時刻表をもらってくるのを忘れてしまった。

次の朝。7時には起きて原稿を書きだしたが,どうも,時刻表ぐらいもらってきておきたいと思った。

書きかけのまま,駅に向かう。ちょうど通勤時間帯らしく,たくさんの車が行き交っている。昨晩のホームレスたちは,駅前の芝生のうえ。夜結構遅くまで起きているのか,車の音にもめげず,ぐっすりねている。ああいうところで,ただ寝ていてもカゼ引かないぐらいLAは暖かいのだろう。しかし,日本で見るホームレスに比べ意外にも比較的きれいだし,臭くない。ホームレスと言っても,公園が家なだけで普通に生活しているということなのだろうか。これは,この前ニューヨークで見たホームレスとはちょっと違った。

ホテルから空港に行く途中でも,「I AM HOMELESS. I NEED FOODS.」などと書いた段ボールをかざして信号待ちの車に見せているホームレスが何人もいたが,彼らもそんなにひどい身なりではない。

極寒のNYとLAでは生活のきびしさは違うだろう。LAのホームレスたちには身なりに気を使う余裕がある,ということなのだろうか。

さて,駅に行っていくつかの路線の時刻表をもらい,売店で絵はがきと列車のチョロQを買った(ちゃんとゼンマイがはいっていて,走る。マカオ製)。

というわけで,列車の旅は終わりだ。コスト的には飛行機と変わらないし(Amtrakが$66,飛行機が往復$120)時間は6倍かかる。普通に考えれば,こんなバカな旅をしようと言うのは,高所恐怖症で飛行機に乗れないか,よほどのヒマ人であろう。

実際,乗っている人はリタイヤした夫婦とか,時間はありあまっているらしい人が多い。しかし,携帯電話を持っていて,しょっちゅうどこかに電話をしているようなビジネスマン風の男も乗っていたりする。

とにかく,飛行機では,出発地と目的地の点と点を結ぶだけ。とちゅうのことは何一つわからない,と言って良い。

列車の旅はそれを「線状にアメリカを見る」に変えてくれる。水野晴郎さんふうに言えば,「いやーアメリカってほんっとに広いですね」というのもわかる。1日,余計に時間が取れるなら,列車の旅というのは悪くないな,と思った。そして,できれば回りの人といろんな話ができればいい。

ただ,本屋でいろいろ旅行本を立ち読みしてみたが,グレイハウンドバスのことはでていても,Amtrakのことはほとんどでていないようだった。

次には時刻表にあった路線のことを書いてみよう。

TAKECHANG

Takechang の冗談半分 #237  92/11/22 20:39