Takechang の冗談半分 #343 | 93/ 3/28 22:49 |
ぷーたろは昼間会社にいく事がないものだから,コラムを書く時間ぐらいヤマほどあるんではないか,と思うだろうが,実はこれで案外忙しいのである。
特にここ数日なんて子供が休みになったものだから,あそぼうだの外に行こうだのとやたらにうるさくまとわりついてくる。
そのうえ,ボイラーは壊れる,風呂の火が燃えない,クサカキ(わかりますか? 畑で雑草を取る時に使う,長い柄のついた刃物)の柄が折れてしまった,人形の足が取れた,などなど雑用があとからあとからやってくる。
まー,ぼくも「会社に行っている男ども」だったときは,「主婦なんて2(「なんてなんて」と読みます)暇なショーバイなんだろう」と思ったんだけど,これが意外にそうでもないということが分かってきた。
こういうのが実地体験というものの成果なんだろう。
ちょっと,ボイラーの話をしてみよう。妻が「お湯がでなくなっちゃった。ボイラー屋たのんだんだけどちっとも来ない」と困り顔でやってきた。
実はこれは10日も前の話である。
つい,「あーいいよ,見てやるよ」と言ってしまった。
どうせ燃料噴射ノズルがつまったんだろう。軽く考えていたのである。
ウチのボイラーは灯油式の小型のもので,これはすこぶる簡単な構造である。こんなものが直せないわけない,とつい思うような奴なのである。
燃料系は,灯油タンクから配管が来ていて,電磁式の燃料ポンプで加圧されて直径0.5mmぐらいのノズルから灯油が勢いよく飛び出す。
するとそこに圧電式の,まあ電気ジカケの火打ち石が待ちかまえていてヒバナを散らすようになっている。
火がついたところへ今度はカタツムリ型のブロワーが後ろから空気を押し込むので,火は火炎放射器のように前に飛んで行く,とそこに水の配管のついた釜がある,といったような程度のシカケである。
今回は最初に考えたとおり,燃料がノズルから出てこない状態だった。
ノズル部をバラしてツマリを通すのは前にも何回もやっているから,それでいけるかなと思ったのだが,ノズルはスカスカのスーで別に詰まってなんかいない。
だいたいノズルを外しておいても灯油が出てこない。「こりゃ,燃料ポンプかな?」ポンプの上のネジをゆるめて配管を外して電源を入れると電磁石のジーと言う音と一緒に勢いよく灯油が飛び出す。
大丈夫じゃないか,というので配管を付けるとまだダメ。ナゼだ,どーおしてなんだああああ〜〜〜,とつい劇画調になってしまうが,どう見てもその先は配管の穴があるだけである。
結局どうなったか? ぼくは3時間かかって電磁ポンプをばらした(バラしに入るまでにすでに2時間たっていた)。
ドクター中松で,このポンプはあのドクター中松の発明になる,ショウユチュルチュルという名前の灯油ポンプで,手でヘコヘコやるかわりに電磁石でゴム膜をつついてやっているようだというのがわかった。結果的には,この膜が寄る年波に勝てず,配管がつながって背圧がかかった状態で動けなくなってしまったらしい。
これはもうポンプ交換しかない。が,すでに15年も使っているボイラーなので部品があるのか,それすら心配される物件である。
長府製作所ここである程度ワケのわかった部品屋にものを頼めばよかったのだが,「長府ボイラ」の看板があった,というだけで近くの建材屋に頼んでしまった。
で,これがまてどくらせど来ないのである。催促するたび,「きょーは来ませんねー」と言われて10日めの夕方,電磁ポンプがやってきた。
ところが,これが「15年の内に技術が進歩した」んで,同じ吐出量のポンプは1/3 ぐらいに小さくなってしまったのである。
機械的固定部分はまるで寸法が合わないものの,配管取付部は合っているから,まあ,空中配管でやってみるか,とつないで電源を入れてみる。
カタツムリファンの音がして,チチチチと点火音がして,3秒後ゴーと炎の音が……まではいいのだが,1秒後に火が消えてしまう。
ここでまた劇画調である。なんで,1秒後に? 考え込むことしばし,テスターを持ってきて電磁ポンプの端子電圧を見ていると,たしかに1秒後電圧が出なくなる。
うーむう? と端子の奥にある金属ケースを取ってみると,そこに遅延用リレーが入っていた。点火より先に燃料が出ないように,電源ONから電磁ポンプONまで3クロック程度の(?)ウエイトをかけているわけである。
で,このリレー,通常なら毎日何回も動いているのでいつも接点がきれいになっているが,10日も放置されていたため,すっかり接点がキタナクなって電流が流せなくなっているのだった。そうと分かれば話は簡単,CRC5-56一吹きでケリ(注:小電流用の接点でこういうことをすると逆に生き返らなくなるので,注意)。
というわけで,この2回目の修理も,機械取付部の加工をして完了するまでにまた3時間がかかったのである。
この修理1と修理2の間にあった,カチカチヤマ事件のことも書いてみようか。
ウチの風呂はいまだにマキでたくやつである。少しばかりの山があるので,ただ取りに行けば風呂の燃料ぐらいはタダ手にはいるのである。
最近,この風呂の燃えが悪くて,ちょうど近くで夕食をしているとモロに煙がやってきて,ケムタくてかなわない。ついには,家じゅうほとんどイブリダシにあっているように煙で前が見えないカチカチヤマ状態になった。
ついこのあいだじいちゃんがエントツ掃除したばかりなのに変だ,という。
これはじいちゃんの領分なんで?手は出したくなかったが,煙はもうごめんだ。もう,泣きながら夕食を食いたくない!!(それでも茶碗はハナシマセンデシタってのが,余計に泣かせたりして。)
ということで,朝からエントツ掃除をはじめた。ところが,カマの回りもエントツもたいしてススはたまっていない。じいちゃんが掃除したんだから,あたりまえだ。
ぬわーぜじゃあああ,とまたも劇画状態で屋根の上で考え込むことしばし。
ふとエントツ最上部をみてヒラメいた。
エントツのてっぺんにはH型の筒がはまっていて,ちょうど H の横棒のところに下からのエントツが入るようになっている。
こないだの掃除の時,これが傷んだというので付け変えたのだが,新しい奴はなぜだかエントツにくらべ1回り大きくなってしまった。
で,普通はテーパになった部分でとちゅうで引っかかって止まるのだが,これは大きいから,下まですぽんと入ってしまう。
するとどうなるかというと,下からのエントツの円形断面に,上からちょっと上向きRのついたフタをかぶせた格好になるのである。
だから,煙は上にあまり出られず(それでも隙間から結構煙が出るので,下から見上げる限りにおいては,調子よく煙が出てるみたいに見える),当たり前な事にのこりの煙は下の焚き口から出てきた,というわけである。
ここまで分かればあとは簡単,エントツ接続用のカナグを買ってきて適当なところで上のH型を止めればこれでOK。
こうして,わが家のカチカチ山晩餐は終わりを告げたのである。これも無事一件落着。ここまで,またまた半日かかった。
えと,余談?だけど後で考えたら接続カナグより,上のH型を寸法が合ったものに変えたほうが本質的な解決策だったような気がする(反省)。
以上のようなわけで,ぷーたろも意外に毎日忙しい。
竹中 俊
Takechang の冗談半分 #343 | 93/ 3/28 22:49 |