Takechang の冗談半分 #579  94/ 8/ 9 22:55

INTERNET 9>
高校野球

ことしも超熱い甲子園の夏のシーズンがやってきた。

とにかく,高校野球に限らず,「プロ」でも「草」でもおよそ野球と名のつくものが好きな日本人の男というのはすごく多い。

僕は子供のころから野球ってのがすきじゃなくて,大昔受験生だったころ,ながら勉強のBGMにラジオをつけていると,とにかく春から秋はどのチャネルも野球。

これがいやで,唯一野球以外の放送をしていた文化放送を愛聴していた。

「なんでみんな野球がすきなんだろうなー」と思っていたが,今日のひるにふとつけたテレビで高校野球をみてしまい(ニキビだらけのイガグリ頭と精神主義ってのがきらいで,プロよりまだ高校野球はきらい),でちょっと気がついたことがある。

考えて見れば常識なのだけど,野球というゲームはすすめかたがほかの球技と大きく違うということだ。

つまり,守備側,攻撃側ってのがあって,やる事が決められている。

普通はサッカーでもバスケットボールでも,「今はAチームの攻撃の時間だから,Bは守らなきゃいけない」なんて決まりはなくて,いつでも「守りつつ攻撃して」「攻撃しつつ守る」という混沌状態である。

で,ふと「このどっちか片方だけという半二重通信のような状態というのが,日本人の性格に合ったのかな」という気がした。あるていど以上の日本人って,野球中継とパチンコは死ぬほど好きだけどJリーグなんて絶対見ないとか,そういうところがあるような気がする。

あるいは,野球の場合,実際に戦っているのは18人のうちピッチャー対バッターという戦いだけ,というのも,どうも昔からの合戦の方式に合っているかもしれない。

「やあやあ,われこそは,」と名乗りあった武将の一騎打ちというやつだ。あるいはもっといえば,ひっぱたくバットだって,刀のように見えなくもない。

ほかの球技が日本に入ってきたのだって,それほど時期が変わらない(んじゃない? 調べてないけど)だろうに,なんで野球だけが日本で盛んになったのか,というとそういうこの球技の特徴が日本人に合ったからではないのか,とそんな説?を考えてみた。

でもって,なんでここでそういう話がでてくるかといえば,そういうふうな,半二重状況は得意だけど,混沌の全二重状態が不得意(あるいは好きじゃない)ってのは,やっぱりマルチメディアのような混沌としたやつは不得意ってことになるかな,とも思ったからだ。

これがマルチメディア時代に「ソフトに弱い」と言われている日本人ということなのではないだろうか。

だとすれば,これは本質的なもの,つまりいわゆる国民性ということで,しゃーあんめー,の世界なのであろうか。

とすると,今後のマルチメディア世界ではどうにもならない日本人というのはキマリだということになってしまう。

で,他の分野でなんかいい目がないかなと探して見たら,たとえばこんなのがあった。

「モーターサイクルを作るのは世界一だけど,ライダーにはろくなのがいない日本人」ということがずっと言われてきた。

これなんか,「ハードは得意でも……」と言われているマルチメディアの状況によく似ているような気がする。

この場合はどんな推移だったか,というと1960年ころからマシンは世界一だったが,なかなか世界チャンピオン級のライダーは現れなかった。

70年代に片山,80年代に平と天才が1人づつ現れたけれど,全体のレベルとしては「まだまだ日本は……」といわれる状態だった。

ところが90年代にはいって,状況が変わって来ている。

125ccから500ccまで,世界グランプリの上位10人までに何人もの日本人ライダーが常時入るようになった。

モーターサイクルの世界ではまさに,ハードだけじゃなく,ソフトも日本人,の時代になったわけだ。

ここまで,高橋国光が1960年に初めて世界グランプリに行ってから30年以上。

なんというか,モーターサイクルにまたがった日本人が世界で通用するようになるのに完全に一世代30年かかったというわけだ。「根付く」というのにはそのぐらいの年月が必要だということか。逆に,ということは,マルチメディアってのも日本人が発明したわけじゃなし,やっぱりできるようになるまでは(一人二人の天才でなくて日本全体のレベルが上がるまで)あるていど時間がいりますよ,ということなのだろう。

幸い,国民性という点ではいまの小学生など,半二重の野球より,全二重のサッカーが好きな子が増えているそうだから,バックグラウンドとしては?ずいぶん今の大人と違うんじゃないか,と思ったりする。

そうすると,ソフトウエアの分野では案外30年を経ずしても,子供たちがおとなになるころには,案外日本もソフト王国,ということになっているかもしれない。

なんて,今日は野球ずきが怒ってしまうような話を考えてみた。

竹中 俊

Takechang の冗談半分 #579  94/ 8/ 9 22:55