Takechang の冗談半分 #124 | 92/ 8/ 5 7:28 |
(〜HDDの話,中略〜)
さて,ここまでは借り物のXTケースに入れていたのだが,動作出来たので,いよいよ自前のケースに入れることにした。
これも実はXT互換機のケースでSANYOのMBC880というやつである。この前かいたように,XT互換機であっても,ケースと電源としては使えるはずだし(メインボードはもちろんだが,キーボードもだめ,拡張ボード類は一応使えるが,8ビットバスなので,よほどのことがないかぎりはやめといた方がいい。遅い),まともな物を買うのに比べ,中古だから当然安く上がる。
で,決めた!!!と思ったのだが,結局この「日本製互換機」が僕のNEAT TURBOに墓穴を掘ってしまった。
教訓「日本製互換機を信用するな!!!!!」
つまりどういうことかというと,「機能的には互換に出来ているのかも知れないが,機械的には互換ではない」のである。一見,互換そうに見える。
いままで見てきた台湾製互換ボードでは,純正XTと電源コネクタも同じなら,キーボードの位置も,その他の止めネジの位置もまったく同じだった。
だから,プラモPCということで,電源とケースを残してボード類を入れ換えてもまったく問題なく動作できた。
ところが,この日本製互換機はまず,電源コネクタが違うのである。ピンの幅がXTより細いし,何よりピン数が違うのだ。
てっきりこんなところはプラグコンパチで,差し替えるだけ,それがISAの世界と思っていたので,非常にびっくりしてしまった。
これは結局コネクタを切って電線を直結してやった。この前書いたように,POWERGOODは隣の+5Vにプルアップ(2Kオームとかで)してやる。
さらに,ボードそのものも一見純正XT(僕は純正XT基板も持っている)と同じに見えるのだが,取り付けネジの位置などが細かくちがう。
といっても,1cmとかのズレなので,ごまかして取り付けるには大きい差だ。そしてこのことがNEAT TURBOの息のねを止めてしまった。
取り付け部のネジのあるところは盛り上がっていて,そこが基板に接触する恐れがある。それで,ガムテープで絶縁してやったつもりだったのだが,どうも,切りっぱなしのリード線で,突き破ってしまったらしい。
パチンと音がして以来,キー入力ができなくなった。良くみると,32.000MHz というオシレータの足が焼けている。
ということで,たぶん,このオシレータを入手すれば直せるのではないか,と思うが急には手にはいる見込みはない。
しかし,このことはよく考えてみると,非常に示唆に富んでいる。日本製互換機でなぜわざわざコネクタを変えてあるのか? 「自社製品以外をつながれて,もし動かなかった時のクレームが恐いから,つなげないようにする。」こういった考え方ではないだろうか?
あるいは,同様に「他社のネジ位置なんか関係無いから自分の都合のいい位置に取り付け部を付ける」こんなことではないだろうか。
いまだにこういう商売をしているのかどうか分からないが,そうだとすれば,日本製互換機を買ってしまった人は,次に台湾互換機を使おうとすればコネクタや取り付け位置の改造をせざるをえない。経験のない人ならここで諦めざるをえず,二度と日本製互換機など買おうとしないだろう。
いま,日本製はあまり売れていないらしいが,ひょっとしてこのような事があるなら分かる気がする。
あと,商売のやり方。日本メーカはできるだけロイヤリティ(技術特許などの使用料)の支払いを減らすために,自分でも特許を保有し,これとISAを使うことによる使用料を相殺するとか,基幹部品(LCDとか)の供給を行うことで,ライセンス料をまけさす,なんてことをやっている。これだと,日本製品が売れても,儲るのは日本メーカだけで,アメリカのメーカは別に儲らないし,気が付いてみたら,部品輸入のがめちゃくちゃ多かった,ということになりかねない。
台湾メーカはどうか。ISAを使えば,ロイヤリティをIBMに支払い,MS-DOS のライセンスはマイクロソフトに,CPUはインテル,CHIPSの周辺チップセットでチップスに,メモリは日本メーカにとお金をはらう。
要するに台湾互換機が売れれば,アメリカやその他のメーカももうかるようになっている。これは,共性ではないだろうか。
従来,このことを「連中は製造技術だけで,基礎技術が無いから儲らない,ダメなのだ」と言ってきた。
しかし,これを「自分だけがやたら儲るのではなく,自分の製品が売れることによってみんなが潤う」と解釈したらどうだろうか。
日本が同じ方式では,いまさらやれるとは思わないが,これは今日本が直面する問題の1つの解になっていると思う。確かに台湾などに基礎技術が不足しているのも確かな問題で,日本がせっかく蓄積した基礎技術を捨ててしまうなどいう追随の仕方をしてもしかたない。方法はやはり自分で編み出す必要があろう。
しかし,「自分だけが儲るのではなくてみんなが潤う」ことを考えるのはこれからの日本にとって最重要課題の一つであると思う。なんとかせねばならない。
ところで,NEAT TURBOが死んでしまっても,あまりダメージを感じていない。HDDの問題は解決したし,結局286でシャドウRAMなどをやっても,あまり御利益はなく,やっぱり386が必要だと思うようになったし,なぜこわれたか,は分かっているので次の対策は取れるから。
そして,実はすでに386マザーボードは手配済みである。
次から紹介する。
TAKECHANG
Takechang の冗談半分 #124 | 92/ 8/ 5 7:28 |