Takechang の冗談半分 #204 | 92/10/31 21:27 |
ディズニーランドに行く前にすでにEOSのレンズが死んでいたことはすでに書いた。
いまだに子供たちの成長記録で写真をよく撮っているから,こいつが動かないのはちょっと痛い。
修理と言っても直るまでに時間がかかるだろうし,金額も買うのと大差ないぐらいかかるかもわからない。
そのぐらいならば運動会以来念願の望遠(といっても,予算的にいいところ 200mm)も含みで買いに行こうと思いついた。資金は例によってたいしてないけど,ちょっとだけ臨時に収入があったのでなんとかなるかも分からない。
ということで,カメラ屋に偵察に出かけた。ふだんカメラ屋に出入りしている?わけではないから,あてずっぽうであるが,たしか,駅前の通りに中古なんかもけっこう並べているところがあったはずだ。
在庫があったら,買ってしまうつもり。
下の娘をつれてでかけた。カメラ屋のショーウインドウにはNikon,MINOLTA,Canonと並んでいる。
思わず,安いかと思って中古レンズのウインドウから見てみる。ミノルタ用などはけっこうあるけど,キヤノンAF用はあまりない。 20mmの広角と35-135mmのズームがあるだけだ。中古でもズームのほうが18000円くらいである。
これは安いのか,高いのか? パソコンならば,「うーん,今時VXが10万じゃ高いんじゃないの」ぐらいのことは言えるが,カメラでは皆目見当がつかない。
ま,PCでは地方都市で中古なんてあったためしがないのだから,機種が限られるとはいうものの,あるだけ状況はいいのかも分からない。
うーむ,新品では予算オーバーだろうなー,というんで新品の棚をみてみると,EOS1000セットというのが目にはいった。
EOS1000ボディに28-70mmと70-210mmのレンズが付いて 57000円とある。EOS1000ボディってたしか5万円ぐらいじゃなかっただろうか。レンズはシグマとかいうサードパーティ製だけど,これはかなりな値引き率ではないだろうか?
あるいは,替えのレンズなんてたいして高くないのかもしれない。本体が3万円としたら,レンズは27000円? ここで,「これなら何とかなる」という感触を持って店に入ってみた。
あまり入った事はないが(2年くらい前にビデオ用に一脚を買ったぐらい)前を通ることは良くあって,大抵は人の良さそうなおじさんが一人で手持ちぶさたにしている。
今日も客はいなくて,おじさんが一人でDPEの束を数えていた。「あのお,外に出してる,キヤノンのズームセット,シグマのレンズなんですけど,レンズだけってのもありますか」と聞いてみた。
「あー,あれね,ははん。レンズ,ありますよおお。種類がいろいろあるんですよお」とおじさん(こっちも概ねおじさんであるが,先方の方がたぶんトシがけっこう行っているであろう場合に相手をおじさんと呼ぶ)。
なんだか,シーナマコトさんの『風にころがる映画もあった』に出てくる 8ミリカメラ屋って感じがする。カメラカンケーの人というのはなぜかこういう雰囲気,物言いになるのだろうか。
「いや,あそこにある28-70mmと70-210mmのセットでいいんですけど。」「あーあれね,ははん。ここのケースにあるやつですがね」とおじさんは店内のショーケースにある,同じEOS1000セット57000円というのを指す。「どのレンズでもとれますよおお。あははん。」
別に,300mmとかいうものは僕はいらないので黙っていると,「ちなみにですね,この28-70mmと70-210mmのセットの値段はですね……」と台帳のようなぶあついファイルを持ち出してくる。
「メッタに売れないから,値段なんて知らないのかな」となんとなく不安。「おきゃくさん,カメラセットじゃないと5万円ね」とかいいだしたらバカバカしい(ボディ付きでも57000円なのに)。
「えーとおおおおお」としばらくページをめくったあげく,親父は「28000円ですね」と言った。うーん,結構いいセンをついてくるな。
(実は,3万円以下なら買おうと思って,予備込みで35000円もってきたのだ。)
この時点でおじさんは,「ちょっといいですかあ」と娘の肩にかけておいたEOSを取って見る。「あー,AFのみの35-70mmね。このレンズ,結構シャープでしょおお。えとねえ,これに比べると社外品はやっぱり技術,落ちますよ,焦点あうまでがね,ちょとかかる」などとマイナス材料を出してみせる。
「ちょっと,使ってみますか」と僕のEOSを取りあげて28-70を付けて渡してよこす。店内の壁の,観月ありさのポスターを狙ってみる。
(どうでもいいけどぼくは既に感覚がじじいなのか,この人どこがいいかよく分からない。)
じーこー(サッカーじゃないよ)と動いてPと焦点があった音がする。たしかに今までのキヤノンレンズでは,じPという感じだったからだいぶ遅いようだ。すぐ前の椅子に座っている娘にレンズをむけると,またじーこーP。
「うーん確かにおそいですねー」と僕。おじさんはすかさず,「まーねー,その辺が技術だから。でも,ここのはピントはいいですよおお。それに,普通ね,焦点範囲のはじからはじなんて動かすのめったにないし。」
ま,そりゃまあそうか。
追い打ちをかけるようにおじさんは,「運動会とかね,撮りますとね,やっぱり200mmぐらいのズームがないとねー。70mじゃあよっぽどお子さんが近くを走るでもないかぎりダメでしょう」という。
そーなんだ。先日の運動会でも,トラックの脇まで近づけばいいのだけれど,いいところはビデオ,カメラで埋まってるのだった。
この為に望遠が欲しかったんだよねー。
SIGMAということで,簡単に落ちてしまって,ほぼごしゃごしゃいうことなく「じゃあ,これください」と言ってしまっているTakechangなのだった。
帰ってきて,じっくり見てみると,なんだかカメラが重たい。レンズが重たいんじゃない?っていうので量ってみたら,
Canon | 35-70mm(f3.5-4.5) | 225g |
SIGMA | 28-70mm(f3.5-4.5) | 355g |
なんと,キヤノンは2/3しかない。これは大きい差だ。AFレンズということで,光学というより工学,メカトロニクスの塊と化したレンズ作りで,昔ながらの?レンズやさんと総合電子,メカトロメーカーの差がでてる感じだ。カメラ屋のおじさんの言うとおり,技術の差がそうとうにあるようだ。
でも,まあその分値段が安いわけだし,軽くて合焦が速いのが欲しい人はキヤノン純正を買えばいいわけで,結構住み分けはできてるのかも分からない。
(あした,撮ってみないとなんとも言えないけど,レンズの光学系そのものとしては,カメラ屋のおじさんの言うように遜色ないなら,ネダンは使い勝手の差ということになる。とはいうものの,このレンズセットの希望小売り価格というのはなんと72000円となっていた。キヤノン製と変わらない「見せ価格」という感じ。そんなネダンじゃあ,もともと売れるつもりがないに違いない。)
パソコンなどでも,HDDはサードパーティというのが定着してるし。
あしたは,近くに出かけて望遠を使ってみよう。
TAKECHANG
Takechang の冗談半分 #204 | 92/10/31 21:27 |