Takechang の冗談半分 #275 | 93/ 1/15 23: 4 |
むかし,親切な電気やさんとかってコマーシャルがあったが……。
昨日,僕は雨の中順調に中央高速を走り,家路を急いでいた。
「小淵沢ぐらいから雪かもしれないな……。」チェーンは持っているし,いざとなればまあしかたないが,雪の走行はやっぱり随分気を使う。
「できればこのまま雨でいてもらいたいなあ……」などと思いながら「韮崎2km」の看板のあたりにさしかかった。快調に回っていたエンジンが急におかしくなった。
アクセルをふみこんでもあまり反応が無い。とっさに「本線上で停止しては大変だ」と思ってインター出口方面に車を進めた。これはもういけない。完全に2気筒か3気筒しか爆発していないようだ。
それでも,なんとか料金所で金を払って,発進する事ができた。
「町はたぶん,左の方だな,なんとか自動車屋のあるところまで持っていけないか」と山を降りる方向に車を進める。
パーン,パーンとハデなバックファイアがではじめた。
点火しないので,マフラーの方に出てきてからガソリンに火がついていると思われる。
ちょっと走ったところで完全にいけなくなった。まったくエンジンが回らない。
実は先週ぐらいから点火状態がおかしく,時々タコメータの針がめちゃめちゃに上下してノッキング状態になるときがあった。
で,この状態には以前もなった事があって,ディストリビュータとコイルを接続しているコードが,コイルはボディ側,デスビはエンジン側なので,エンジンの振れによってよじられるような動きを常にしている。
そのために数万キロに1回切れてしまうのだ。今回も多分これだろうというので,以前使ったスペアのケーブルに替え,この1週間結構調子がよかったのである。
とにかく,橋の上でとまってしまった。車線がせまいので,こんなところで止まっているわけにはいかない。セルモーターを回してみるが反応なし。というか,電気だけの問題にしては,なんだか回転が軽すぎるような気もする。
マイッタな〜〜〜〜〜,セルモーターを回しながらクラッチをつないでそろそろと動かす。
橋をぬけたところで少し下りにかかったので,カレーのコマーシャル(岩城晃一さんがトッポリーノ?かなんかを押していたやつ)ばりに押してみる。
しばらくいくとようやく横道があるところにさしかかり,少し広がった部分に車を止めた。ときは夜の8時ころ。ここの場所に土地カンもないし,さて,どうしたものだろう。工場とか,スイミングクラブがあるが,この時間なのでどこもしまっている。
少し先にネオンの光っているところが見えたので,とりあえずそっちに歩いてみた。公衆電話があったら,とにかく出入りの自動車屋に電話してみることだ。
最近ハヤリの郊外店舗というヤツか,紳士服のコナカと書店のくっついた長屋だった。
しかし,雨のせいか,人影はまばら,公衆電話もない。書店にくっついたファミコン屋?の人に聞いてみた。この先の中学校のところにあるはず,という。すこし先まで行ってみるとたしかに電話ボックスが。
まずは家に電話して車が壊れた事を話し,自動車やの電話番号を聞き出す。
会社の方に電話するが,すでに帰ったらしく,でない。
僕は初めて車を買ったとき以来,ディーラーではなくて,いわゆるブローカーというか町の自動車屋,オヤジと数人の整備士でやっているようなところで車を買っている。
だから,車種は変わっても買うのはいつも同じところだ。社長のうちもわかるからそっちに電話してみた。おくさんがでた。「夜分,すいませんが,車が動かなくなっちゃって……」というとすぐに社長に代わった。
「場所はどこ?」,「韮崎」,「にらさきいいい……」と先方もちょっとひるんだ。それはそうだろう,韮崎までは100km以上もある。
「こんな夜中に来てくれないかな。」それでもしょうがない状況である。
「ま,取りにいかにゃなるめーな。」ちょっと間があって社長が言った。「場所をくわしく……」「雪は?」「車の状態は?」せわしないやり取りをして電話を切った。あとは待つのみ。時計をみると大体20:15だった。
乗用車なら1時間かそこらだが,カーキャリーのトラックでいったいどのぐらいでくるものだろう。
とにかく1時間はこないことは確定的だから,節約のため,ハザードランプを消して付近をウロついてみた。
山の中だと思っていたが,案外家もあれば大きいホームセンターもある。郊外の住宅地といった感じになってきているところらしい。
しばらく歩くとセブンイレブンをみつけた。
持久戦になった時の用心におにぎりパック,お茶などを買い込む。車に戻ってみると真っ暗な中にポツンとある。
このまんまで,どうなるか。近くにだって自動車屋はあるだろうに,そういうところをさがしたほうが良かったかなあ,などという気もしてくる。
おにぎりを食べながら待つこと約1時間,やってきた場合に備えて目じるしにハザードをつけた。
雪でなくてましなものの,ザーザー降る雨のなか,エンジンが死んでいる訳だから暖房がない。だんだん冷え込んできた。
やることもないから,くだらないことを考えて過ごす。
ハザードの電池はいつまで持つのか。1個20Wの電球が4個,あと小さいランプがいくつか,まあ多めにみて120W,10Aというところか。
電池が38AHならば,まあ4時間近くもつとみていいのか? いや,ここまで持ってくるのにスタータをだいぶ使ったから半分としてまあ2時間ぐらいか? やってこなかったらどうするか。朝にならなければ動きは取れまい。この寒さで,朝まで車の中で過ごすのはきびしいだろうなあ。
インター下にモーテルがあったけど一人で歩きで行って泊めてくれるだろうか?
その場合は電車で帰るしかないだろうなあ。タクシーなんていそうにないし,駅までどのくらいあるんだろう?
結局カーキャリーがやってきたのは22:30を回っていた。社長と一番若い整備士が乗っている。
「いやあ,雪が心配だからチェーンもさがさなくちゃいけないし,高速を下ろされることもあるから地図もいるし,こんなに遠くにくる予定じゃないから燃料もいるし,結局出たの9時過ぎだったんだ」と社長。
まあ,とにかく地獄に蜘蛛の糸,韮崎にカーキャリーだ。「昨日は街に飲みにいっちまったから,今日でよかったなあ。」
3人して積み込んで家路についた。社長宅までもどるともう0:30を回っていた。
なかなか商売というだけではやってはもらえない。ディーラー経由だったらば,なんとか現地で自動車屋を捜すしかなかっただろうと思う。
小さい自動車やさんのメリットはこういうところなのである。僕はやっぱりこの次もここで車を買うだろう。
竹中
Takechang の冗談半分 #275 | 93/ 1/15 23: 4 |