Takechang の冗談半分 #475 | 93/11/19 16:24 |
火曜日,朝7時におきて車に飛び乗り,LVCCに出かけた。
LVCC前の駐車場は早く行かないと,やっぱり満車になってしまう。そうなると近くの民間?駐車場に入れるしかなくなる。
LVCCの駐車場は1日(というか,おそらく,入れてから出るまで,極端にいえば何日いても同じようだ)$2だが,COMDEXをあてこんだ近くの駐車場は$10もするのである。
日本の感覚なら「1日おいて1000円ならあたりまえじゃないか」ということだが,ブルバード(通称ストリップ)あたりの巨大ホテルの駐車場でも,自分でとめるならタダである。有料駐車,という感覚そのものが無いような気がする。
ともかく,何事も節約のため,早起きしてLVCC駐車場に車を止めて,LVCCから無料の送迎バスに乗ってアラジンホテルに向かった。
Bill Gatesこれが11時からのマイクロソフト会長,ビル・ゲイツのCEOパースペクティブ(何と訳せばいいのか,会長,今後の展望を語る,って感じかな)の席を確保するためである。
キーノート(基調講演)もパースペクティブも,COMDEXの席は,Open to all attendees. つまり,だれにでも開放されている。で,Seating is on a first-come, first-served basis! つまり,最初に来た人が最初に座れる,ただそれだけなので,要するに日本でもよくある「並ぶ」ってのをやるしかないのである。
で,僕は始発便のLVCC ←→ Bally'sのシャトルバスに乗ってやってきた。AladdinとBally'sはおとなりであるが,といったって,日本では軽く1町目分は離れているだろう。ここをテクテクと歩いてアラジンに向かった。
まだ,COMDEXの札を付けた人間はほとんどいないので,インフォメーションのおっさんに「Theater For The Performing Arts」の場所をたずねた。
ただ,まっすぐ行くだけ,というので,ずんずんと行く。日本で例えばダイクマの大安売りとかいうと,早朝に行ってもすでにすごい人出だったりするが,ここではさすがにそれほどのことはなく,せいぜい2〜30人が並んでいるだけだった。
ここのホールは7000人収容という巨大なやつなので,この分なら楽勝かな,と朝何も食べてないから,持ってきたビッグマックを食べようとコーヒーを買いに行って戻ると,すでに行列は100人以上に膨れあがっていた。
(僕はこのところ,夕方ビッグマックとポテト,コークセットを買うと1回ではたべ切れず,次の昼まで食べている,みたいな生活である。ならば缶コーヒーを持っていけばいいではないか,と思うだろうが,あれは日本人の発明品なので,ここにはないのである。)
さすがにPCの世界の「教祖様」ビル・ゲイツだけのことはある。
ところで,パソコンの創世期のころからの教祖様というと,ビル・ゲイツのほかに,スティーブ・ジョブズがいる。彼もアップル社の創設メンバーとして一世を風靡した人である。未だに根強い人気があり,NeXT社がまだ生きているのは,彼の人気ゆえ,という話もあるぐらいだ。
#228 CMDX>Steve Jobs僕は昨年のCEO Perspectiveでこのスティーブ・ジョブズの話を聞いている。
ちょうど,NEXTSTEP for 486が発表間もないころで,少し運動不足なのか?やや中年太りしたジョブズは,それでも一人で舞台をちょこまかと動きまわり,DELLのマシンにインストールされたNEXTSTEPのデモをすべて一人で操作してみせたのである。
それはいかにもマイコンからパソコンへの移行を演出し,実行してきたひとらしい,パフォーマンスだったと思う。
ビル・ゲイツはどうだろうか。実は時間的に言うとこれから約3時間経過して劇場があいたのであるが,ドトーのように入っていって見たのが,
> 300. ALADDIN.JPG TAKECHAG 93/11/17
> (基調講演,ビルゲイツ講演の会場,アラジンホテルの劇場)
のようなステージだったのである。
ステージ上にPCが4セットと講演台などがしつらえられており,左右に巨大なスクリーンがついている。この時,まだビル・ゲイツは登場していない。
11時きっかりに左右のスクリーンでモノクロのビデオが写りはじめた。
男がFAXを送っているが,送った先からうまく出ていない,とかまだこないぞ!というような文句がどんどん飛び込んでくる。
結局男はプリントをワゴンに積んで走りまわるハメになる……。というようなものだ。
それが終わると満場の拍手の中をビル・ゲイツ登場。さすがに人気者だ。
> 299. GATES.JPG TAKECHAG 93/11/17
> (今後の展望を語るビルゲイツ Microsoft会長(同じく会場の大画面から)
舞台中央に立って話すゲイツをカメラが捉え,左右の巨大スクリーンに映しだす。昨年までのヒルトンの会場では,こういうスクリーンはないため,遠くにすわった人は,まめ粒のような講演者をみるだけだったが,ことしは,どこにいてもはっきりゲイツを見られるようになった。
それから,彼はたっぷり1時間,マイクロソフトのオフィス製品を使ってのデモ(マイクロソフト・ワードやエクセルを使ってオフィスの合理化に成功した例や,将来展望のコード名シカゴのデモなど)を行った。
ジョブズと比べて違いが際立っていたのは,ジョブズが自分ですべてPCを操作して説明したのに対し,ゲイツは1回もPCに触らなかったということ。
ゲイツはもともとプログラマであり,マイクロソフトが財をなす元となったベーシックは彼の作品なのだが,彼はまったく巨大企業のCEOとして振る舞ったというわけなのだろう。
一方ジョブズはまだずっと少年のころのあの,彼のワーゲンを売った金で作ったApple1をガレージで売りはじめた,あの時代を引きずっているのではないだろうか。
ゲイツは天才と言われたプログラマを自らあっさりとやめ,経営のプロとして生きている。
そして,自ら,PC業界ではマイクロソフトだけが20大企業の仲間入りをしていると豪語し,さらに巨大になろうとしているのである。
ジョブスは少年のころの夢を引きずり,結局経営者としては大きくなれなかった。
プレゼンテーション1つで,はっきりと彼らの生きざまが見えるものなのだな,と思った。
ただ,確かにゲイツは成功者でアメリカンドリームをまさに具現した人だけど,ほんとうのところ,どっちが幸せなんだろうな,という気もする。どうなのだろう。
1時間はあっという間にすぎ,また殺人的な混雑の中で,今回の景品のマイクロソフト製品のいっぱいつまったCD-ROMを手にすると,僕はまた帰りのシャトルバスに乗り込んだ。
竹中 俊
Takechang の冗談半分 #475 | 93/11/19 16:24 |