Takechang の冗談半分 #480 | 93/11/20 12:15 |
FedExを出てホテルに帰ると,メイドのおばさんが掃除の最中。「いつできる?」と聞くと,「そう,1時間見てくれれば絶対」というので,「じゃあ,どっかみてきたいんだけど,近くで自然公園はないかな?」と聞いてみた。
昨晩,ミラージュの噴火とか,プレジャーランドの海賊船(これは本当にホテルの前の池で海賊船が戦うアトラクションがあるのだ)の写真を撮りに行ったので,今日はネバダの自然をちょっと撮っておきたい,と思ったからだ。
「そうね,フーバーダムなら近いけど」とフレモント通りを南下する道を教わった。
で,車で出かけてみたのである。
まず,ガソリンを入れないといけない。これはブルバードに出た角の7-11でいれた。
ラスベガスでみる7-11というのは,必ずガソリンスタンドになっていて,まるでガソリンスタンドの名前が7-11みたいである。もちろん,コンビニの店にGSがくっついた形なのである。車でいつも移動するわけだから,食料や雑誌,ちょっとしたものといっしょにガソリンが入れられれば,「なるほどコンビニエンス」というわけなのである。
では,ガソリンの入れかたをちょっと書いてみよう。日本のように,マド拭きの人が駆け寄ってきて,自分はただ,ボーとしていれば入れてくれて,10リットルでティッシュ1箱くれたりなんかはしない(なんで,こうなるのか,は下を参照)。
まず,車を空いている給油ポンプの前にとめる。で,7-11のレジに行って「4番ポンプね!」と言っていくらかデポジットするのである。金額はいくらでもいいようだが,僕は$10渡した。
ガソリン価格はいくらか,というと店の前にでかく120とか価格のカンバンがあるのは日本と同じ。120というのは,1単位1ドル20セントの意味なので,つまり120円,なんだ日本と同じじゃないか,と思うと甘い。1単位はアメリカではガロンなので,約3.8リットル。
つまり日本のガソリンのネダンはアメリカの4倍!!!!なのである。
アメリカだって,ガソリンはインポートしているほうが多いのだから,買い値は多分そう変わらないはずだ。なのに末端はこの差! ま,日本では税金がとても高いということもあるらしいが,それにしても同じ物が4倍! いまや日本だって田舎では車がなくては暮らしていけないのにこのありさまである。たまらん。
べつに,毎度マドなんか拭いてくれなくていいし,やってよければ自分でいれるから安くして,と言ってもそれは法律が禁止している。危険物取り扱い主任者が管理する者が扱うこと,となっているのである。
こんなものいらない,に属するものであるが,しかしだれでも扱っていいとなったら,即全国のGS従業員は失業である。いろんな業界でこういう囲いこみをやって,とにかく,みんなで利益を分けてしまうのが日本の囲いこみシステムなのである。こういうことをごくフツーにやってしまったら,日本の失業率は実はアメリカより高くなってしまうかもしれない。だから,囲いこみシステムの一面は雇用保障システムでもあるわけである。国内でも国外でもぬるま湯のような日本の現実である。
で,ガソリンの入れかたに戻ると,もちろん,車のガソリンタンクの蓋を開け(アメリカではガソリンが安いからだれも気にしないのか,鍵なんて無い),そこにホースの先を突っ込む。で日本でガソリンスタンドの人がやっているように引き金を引いても……出ない。
実はホースのかかっていたところにあるスイッチを入れないと出ないのだ。これはレジに課金開始を知らせるSWになっている。で,あとは日本でGSの人がいつもやっているようにやればOK。液面がいっぱいまできたら,引き金を引いていてももう出ない。あとは,片付けて,SWをOFFしたら,レジに行って清算する。
で,僕は7ガロンちょっと給油して,8ドル少し払った。だから最初$10払ったから,1ドルなにがしおつりがきたことになる。
で,このおつりで周辺の道路地図(1ドル50)を買って,いよいよ観光に出た。
フレモント通りを南下して,途中から115号ハイウエイ(州道らしい)に入る。でこれはラスベガスの先が終点なので,そこからミード湖通りに出る。
Hoover Damミード湖というのは,フーバーダムによって川をせき止めて作ったらしく,非常に大きい湖であるが,細長くてT字型をしている。
これがどうも,ラスベガスの水瓶のようだ。通常人口だけで数十万人にもなるラスベガスがどうして砂漠のどまんなかに存在できるのか,ということのキーはここらしい。これによって,ラスベガス全域に水や電気を供給できる,というわけである。
ところどころにヨットハーバーがある。でかい,20m近いようなクルーザーがいっぱい係留されている。乗用車や,大型のキャンピングカーに引かれて移動中のクルーザーもよくみかけた。
ヨットハーバーの1つに行ってみると,カモやらアヒルやら,なんだか名前もわからない水鳥が多数いる。
水の中はというと,50cm級の巨大なコイの群れが泳いでいるのである(どうしてか,ここの湖はコイばかりだった)。
うーん,RVでやってきてこんなのを釣ったり,クルーザーで沖に出て暮らす。いやー,日本じゃあ大金持ちでなければできない世界である。
ここでは,もちろん買っても安いが,レンタルしても車なみのネダンだから,庶民でこういう生活に手が届くのである。
キャンプサイトは,最初にレインジャーの事務所に$8はらえば30日まで使える。すごい。日本感覚では,こんな生活ができるんだから,少しぐらいシェアを取っても僕らをいじめなくたっていいじゃない,ということになるだろう。
でも,アメリカは自由であると同時に真剣勝負の国でもあるのである。真剣勝負して戦って負ければそれはしかたないのだ。「そこを何とか」,僕らがいつもつかうセリフであるが「負け犬は去るしかない」のである。
そして,これが自由ということの本質である,とも思う。どうも,日本では自由の国の夢のような自由の部分(今日見た庶民でもクルーザーで休日をすごせるなど)だけが大きく強調されて,自由を得るにはどういう努力をしなければならないか,が示されないようだ。
それに目覚めることができて,はじめて日本人は真に世界に出て行けるのであろう。中国人は既にそれを知っている。
今の,我々は「そうはゆうても,実際に売るとなったらしんどいで。」サンズ・コンベンションで聞いたおじさんの言葉がすべてである。民族全体としてそこを乗り越えないかぎり,日本人の明日はまことに暗いものに違いない。
50mphで砂漠の一本道を帰りながらそんなことを考えていたのであった。
Takechang の冗談半分 #480 | 93/11/20 12:15 |