Takechang の冗談半分 2 #10  1996/06/11 08:41

おまぬけ太陽電池工作

先日,台湾に行き損なった時,ただそのまま家に帰ってもつまらなかったので,東京に行ったときはできるだけ寄る,秋葉原の名所,秋月電子にいってきた。

秋月電子通商

ここはとにかく電子部品が超安い。たぶん,メーカーなどが仕入れる値段に近いねだんで色々な電子部品が買える。こういう小売り店というのは,日本ではここしかないとおもう。

通常の部品小売りというのは,たとえば1円の抵抗を10円で売るとかいう世界であるから,この秋月商法は非常に人気があり,電子部品が欲しい人でいつも満員である(もちろん,大量に売れるからこういう商法ができる)。

また,新技術の動向に敏感であり,比較的旬の物件があったりするから非常に楽しい。今回僕が目をひかれたのはソーラー電池パネルである。

これは,電卓用が流れたような小型のものとか,あるいは逆に正式な電力用にモジュール化した数万円するものとかはほかの店でも散見されるのだが,この秋月のみたいな10cm角でそこそこパワーのあるモジュールが500円(10枚まとめて買うと4000円などという値づけもうれしい)なんてのはなかなかお目にかかれない。

ということで,2枚買ってみた。
(そう,ついでに秋月ではかなり売上が大きいはずだが,消費税を取らないのもうれしい。国に払わない消費税を客からは取るという小売店が多い中でエラいものである。)

太陽電池のスペックはこんなだ。

メーカー:松下電池工業
電気特性:開放電圧 Voc=6V 以上 作動電流 Ip=150mA TYP
作動温度:−10 から+70度C

これでは,実際の動作条件でどの程度かよく判らないので,100mW/cm2 で温度 25度C において 3.2V 100mA 以上というのが動作例である。

秋月のうれしいところその3はこういうデータシートを必ず付けてくれることだ。田舎の部品やなどだとブツはあるのに,オヤジは使い方も知らず,データシートなんて「使いたければ,自分で調べれば」というような商売のところもままあり,結構憤慨するものだが,秋月はかならずデータシートを付けてくれるのだ。

客が多いので狭い店に店員もまた多いが,店員の多くは電機大の学生とかだ。このためと,店側の教育がよく,どの人に何を聞いても知識が豊富だし,とても親切である。ソーラーパネルなんかは「ガラスなので壊れ易いですから,注意して下さい」などの注意を必ず言っている。これは,本当に部品商売では珍しい事で,「判らないのは客の勉強不足」だなどと,あからさまに言う店のほうがむしろ多いのである。

とまあ,秋月ほめをしてみたが,ホントはどこの店も秋月のような態度じゃないといけないのだ。客をバカにしたようなフツーの部品やの態度ってのがおかしい。

とまあ……ちゅうねんなんで,くだくだいいつつ買ってきたソーラーパネルだが,さて何に使うか。

ソーラーというとつい考えるのはソーラー発電だとかソーラーカーである。

これらの場合,電力はかなり大きくないと実用的でない。だいたいすくなくも 1kW 以上の出力が必要だ。今回のパネルの出力は標準条件で 3.2*0.1=0.32W の出力だから,1000枚で 320W ということは,概ね 1kW には3000枚必要ということだ。400円*3000=120万円。まーまともなものを作るには結構カネがかかる。数ワットあればラジカセなんかは充分動くから,キャンプなどの CD ラジカセ電源としたら,10枚で 3.2W だからまあ10〜20枚あればいいだろう。これならなんとかなる。

が,今回は2枚しかないから,とてもそこまでは無理だ。でもって,とりあえずやってみたのが,LED の点灯である。これなら,たぶん蛍光灯の光ぐらいでも点くはずだ。

で,案の定点いたが,これって結局光エネルギーをまた光に変えているという,なんともオマヌケな実験である。当然変換係数がかかり,おまけに LED が暗いから周囲が明るいとよく判らず,周囲を暗くしたら,発電しない。もう少しマシなことはないか。

災害など用にラジオを動かすなどはどうだろうと思って企画中である。

Takechang の冗談半分 2 #10  1996/06/11 08:41