Takechang の冗談半分 2 #12  1996/06/14 17:00

ヒコーキが,落ちた?

6月13日の12時過ぎ,事務所から食事に戻ってみると,ヒコーキが燃えているところがテレビに映し出されていた。

ガルーダインドネシア航空ってのは,なんだかなつかしい響きである。ガルーダってなんのことか知らないけど,昔キックの鬼とかっていうマンガがあって,沢村忠の敵役の親玉が「ガルーダ様」だったんじゃないだろうか。

なんだか,コブラかなんかのへびのマークが団?のシンボルだったかなあ?

でもって,みょーに興味がわいて今回はずっと12時すぎから,3時頃までテレビを見ていた。

どのテレビ局も,消火活動中のためにヒコーキの残骸には近づけず,そのためにかなり遠くからヒコーキの尻の部分と貴社の記者のおじさんばかり映してした。

その中で,一番最初にヘリを飛ばしたのが TBS 系である。12:30 ぐらい。他社の絵はどれもにたりよったりで,しかもすぐちかくの立ち入りできる県道から撮っていたので,どうも位置の感覚やスケールがわかりにくかった。

その点 TBS の空からの絵は滑走路からどの程度離れているのか,近くの県道からは,あるいは博多の街がどの位置なのかがよくわかって TV(絵付き)である威力を十分発揮していたと思う。13:30 ぐらいになるともう各社ともヘリが飛んだ。

あと,初期の映像で火がついた直後ぐらいから出ていたのが NHK である。ここはターミナルビルの屋上にカメラを常設してあり,そのためにオーバーラン直後の絵を撮ることに成功したみたいだ。

このほか,乗客が持っていた8ミリビデオで撮影したという,脱出直後の絵をいち早く出していたのは朝日放送系である。

各社いろいろなところで微妙に個性が出ていて比較しながら見るとおもしろいものだ。

死者についてはゼロから1人になり2人 3人 4人と,最大4人であると報道されたが一夜あけた14日の段階では3人になっているのでこれがだいたい正しい数字なのだろう。

4人というのは市消防本部の数字で,3人というのが警察発表だったが,フジと朝日はかなり後まで死者4人とテロップを入れていた(後に市消防本部が3人と訂正)。

また,NHK が確かに親方日の丸かなあ,と思ったのは一番公式発表を重視していた点で,他社が現場からの絵ばかり入れていた時に,最初のガルーダ航空日本支社(東京)の会見をライブで入れていた事だ。この会見の様子は他社でも放送されたが,どれも録画で,後になってからだった。

また,このニュースを民放各社と NHK 総合は3時台まで連続でやっていたが,NHK 教育はまったく報道なし,BS1 は通常のニュースのみ,BS2 は総合と同じという状況だった。

こういう報道ってどうとらえたらいいのか。まあ,神戸震災級の災害の場合はもうしょうがないのであるが,実際に亡くなったかたなどには悪いけどはっきりいってどこの局もおんなじような事を2時間も3時間もやってどうなる?って感じがする。

最近では日本中でたいていのところで東京のキー局すべてが見れるわけで,すべてが同じ報道する意味はあまりないと思う。むしろ,速報的な情報を入れさえすれば,通常の番組をやるほうがいいのではないか? まあ,民報の場合電波行政の犠牲?で各1波しかないから,「ほかでやってるのにウチがやらない訳にはいかない……」という事かも知れないが,でも,これは「日本人の横並び意識」が出たってところだろう。

もうひとつ,全部が全部「高森町のXXさんが徳州会(ご存知,徳之島の徳田虎雄さんの病院)にいる」とかってことを言ってあるいてもしょうがないのではないか? 限りある電波とかって事を言うなら,こういう情報が本当に意味を持つ人はわずかなものだし,ほとんどが九州一円の人だったのだから,九州や中国のローカルで報道してもよかったのではないか,と思う。仮に乗客がインドネシア人ばかりだったら各局はどう報道したのか,もちょっと気になるところである。

とにかく3時間もやっていると,報道できるネタも限られているから,とうぜんネタがなくて同じ事の繰り返しやヒコーキのケツの絵だけだったりするわけで,それよりか,せっかく予定した番組をやったほうがいいんじゃないの,ということだ。

あと,毎度の事だが,夕方になってくると,そろそろ航空評論家諸氏が登場して,「何で」という推理を始める。推理ものってのはおもしろいと言えばおもしろい。

不謹慎といえばそれまでだが,結局のところ人間やっぱり「隣の火事」ってのはおもしろいのである。ということは,視聴率を考える民放がこの報道一色なのは当然なのか?

というわけで,ぼく(ら)の「ヒコーキに乗れなかった事件」がどこに行ってもしばらく盛り上がってしまうのは,けだし当然なのであった。あーあ。

Takechang の冗談半分 2 #12  1996/06/14 17:00