Takechang の冗談半分 #007 | 92/ 3/ 2 22:59 |
第一戦だということで,夜中の12時からのF1 TV放送を見てしまった。
マラソンも2時間コースだが,F1も2時間,この位の時間というのが,ちょっとキンチョーして注目できる,ちょうどいいとこ,という感じがする。
これ以上,あんまり長くてもダラダラしてきて,最後なんか,どうでもいいや,って感じになる。ビールでものみながらでなきゃやりきれない。で,最後にはよっぱらって寝てしまう。
最近,野球の人気があまりないけど,この辺の事は関係してないだろうか,と思う。
野球だとまあ短くても3時間かかってしまうし,ちょっと長いと4時間,5時間もかかる。少なくもウイークデーに見たい感じじゃない。ビデオだって,これでは3倍モードじゃないと録れない。
映画でも,だいたいのは2時間から2時間半にできている。
以前,ONCE UPON A TIME IN AMERICAというギャング映画を見に行ったけど,これが4時間もあって,結局最後はいやになって結末を見ずに帰ってしまったことがある。そのほか,アマデウスなんてのもやたら長くて半分しか見てない。
その点,これから始まるサッカーはぴったりという感じだ。紹介とか,休憩を含めて2時間番組になる。
本質的な問題ではないのかもしれないが,ゲームの人気にはこんなところも係わるのではないだろうか。だから,野球もルール上時間制というわけに行かないならば,6回制とかにすると面白いかもしれない。
さて,F1のほうはマンセルがPOLE TO WIN,予選では4番手のパトレーゼもスタートで2位に浮上するとそのまんまゴールまでいってしまい,ウィリアムズのぶっちぎり,一人勝ちだった。
Nigel Mansellだいたい,前に人がいない時のマンセルは「マヌケ」のくせがでて,焦らなくてもいいのに,最速ラップを記録した直後につぶれる,とかいうレースが多かった。今回もその伝かと思った(きっと見ていた誰しもが,思ったのではないか? ポールポジションからスタートした時のマンセルは不思議と弱かったのだから)けれど,まったく危なげなく,2位のパトレーゼにさえ,1周0.5秒以上の差を付けて(72周したから,これでも最終的には24秒の差になった),ゴールした。
下馬評では,昨年の最終戦あたりでは,マクラーレンのほうが明らかに速かったからお互い車が変わってない今回,マクラーレンが優勢ではないか,とか言ったものだが逆に,ウイリアムズのほうが,圧倒的に暦然と速かった。
見ていて分かったことは,サスペンションの具合が格段に違う,ということだ。実は,車は変わってない,というが,サスにはビッグチェンジがあり,ウイリアムズの車はアクティブサスを採用している。
コーナリングG,ロールの状態その他の情報により,コンピュータでダンパの状態などを油圧制御したりする,というものだ(詳細は未発表)。
以前,中島悟がいたころのロータスもやっていたが,この時はアクチュエータのレスポンスが遅く,超高速のF1の走行状態について行けず,ノーマルサスよりかえって具合が悪くて,結局ノーマルなサスに戻ってしまった。
どこをどうしたのかは分からないが,結果的には,今回ちょうどセナの車とマンセルの車にテレビカメラが積まれていたが,この画面のゆれが全く違っていた。
セナの方はいままで通りで,路面の荒れたところでは画面がぐちゃぐちゃに揺れるのに対し,マンセルのほうは画面が乱れない,ということは車体の揺れが格段に違っているということなのだろう。
もともと,ウイリアムズのほうがサスペンション性能がよく,マクラーレンの車はホンダエンジンのパワーに頼って戦っている,と言われていたから,ルノーエンジンが互角のパワーならば,この差はもはやセナの腕だけでカバーできる範囲を超えていたのかもしれない。
それから,燃料も,もはやトップチームのものは普通のガソリンではないようである。規定では,オクタン価と特定の禁止物質ぐらいが決まっているにすぎず,そこに影響がなければ何をいれても規定違反ではない。
ノーマルアスピレーション化後,最初に自然給気エンジン用特殊燃料を手にしたのは一昨年のフェラーリで,一時フェラーリが異様に速かったのはこれのせいだったと言われる。供給会社はイタリアのアジップ石油。
マンセルがウイリアムズに移籍したとき,この燃料が無いことに気が付き,ウイリアムズの燃料サプライヤー,ELF石油に依頼した。昨年のウイリアムズ躍進はこれのせいもあると言われている。
以後,この技術はELFが一番進んでいると言われており,マクラーレンのサプライヤのSHELL石油も当然やっているが,エルフの燃料の方がパワーが出たのかも知れない。(一説によると,通常のレースガソリンに対し,30〜35馬力,5%位は出力が大きくなるのだそうである。)
まあ,これは陸上競技で言えばドーピングであろうが,いまのところF1にはこれを取り締まる規定はない。
さて,今回の結果を個人成績以外のデータでみてみよう。
26台出走で完走は13台,50%である。トップのほうはほとんどスタートのままだったが,全体としては高温などで,かなりのサバイバルレースだったということだ。
2台中,2台が完走しているのは,ウイリアムズ,マクラーレン,ロータス,フットワークの4チーム。ブラバムとジョーダンは1台予選で落ちているから,決勝に出た1台は完走していることになる。
ベネトン,リジェ,ベンチュリは2台中1台が完走,1台はリタイヤ。(リアイヤ理由はベネトンはドライブシャフト折れ,リジェはエンジン,ベンチュリはサス。ベンチュリは衝突によるものなので,機構的問題ではないだろう。)
まずはこのあたりが,絶対的な速さはともかく,信頼性のある車と言えるだろう。
逆に,開幕戦ということ,暑いということで,エンジンブローによるリタイヤも多かった。
フェラーリ,ダラーラのフェラーリエンジンは4台全滅。(ただし,ダラーラの2台はエンジンそのものではなくクラッチとトランスミッションと発表された。が,まあエンジン関連のトラブルである。)
あとティレル,マーチのイルモアエンジン勢も全滅(これはすべてエンジントラブル)。ベンチュリ,ミナルディのランボルギーニエンジンも右京の車以外は死んでいるから,この辺りのエンジンは信頼性が高いとは言えないだろう。(ただし,ランボの場合,フィッティバルディの車は電気系。亜久里の乗っていた時も電気トラブルは多かった。また,ガショーの車はエンジンではなく,サスを壊してリタイヤしている。)
逆に,エンジンの信頼性では,マクラーレンのホンダV12とか,フットワークの無限V10(実は去年ティレルに積まれていたホンダV10の改良版),ウイリアムズとリジェで4台中3台のこったルノーV10,ロータスとベネトンで4台中3台残ったフォードV8などは信頼性の高いエンジンであると言えるだろう。
また一時はかなり採用するところの多かったジャッドエンジン(ホンダのF3000エンジンの改良版)はブラバムの1台が辛うじて完走した。
ジャッドとか,イルモアといったプライベートチューナーのエンジンで信頼性とパワーを両立するのは難しくなっているのだろう。
また,V12で再出発したヤマハも,まだ信頼性,パワー共に十分ではない。
逆に,V8でもフォードなんかはワークス体勢で臨んでおり,シューマッハが4位に来ているし,ジョニー ハーバートも6位とV12,V10に比べてパワー的にも劣らないようである(さらに,V12を開発中)。
というようにお金のないチームはますます勝てなくなっているようだ。コローニあらためアンドレアモーダなどは出走するための供託金10万ドルを都合できず,参加できなくなった。
ところで,F1文化をこのようなエコノミックなものにしてしまったのは日本人だ! という話がある。
昨年あたりはベンチュリ(ラルース,90年はエスポが所有,91年は単なるスポンサだった),マーチ(レイトンハウス,ご存じ,赤城氏のレイトンハウスが所有していた)と,(バブル関連)日本人がオーナーのチームがあったが,今年はさすがにフットワークだけ。(ブラバムもバックは,日本銘柄?)
しかし,ウイリアムズのキヤノン,フットワークの東芝,ロータスの日立,ベネトンの三洋など大口のスポンサーは相変わらず多いし,少年ジャンプなどもふくめて,小口スポンサーというのもやたらにある。エンジンサプライヤも,ホンダ,ヤマハ,無限とある。
非難は,日本企業がスポンサーフィーをつり上げてしまったり,巨額の開発費をかけてハードウエア技術を開発するので、F1から騎士道が消えてしまった,というものだ。(じつは,ヨーロッパのスポンサーは資金づまりだし,長いこと主要なスポンサーだったタバコ会社はもはや締め出される寸前だし,日本企業がお金を出さなければ,F1はどうなっていたか……という事もあるのだが。そして,現実に,誰がお金をだそうと,カーボンシャーシ,テレメータシステム,セミオートマトランスミッション,アクティブサス……と幾らでもお金はかかってしまうのだ。)
金をだしてもオコラレ,出さなくてもオコラレ,ほんとにこまったものだ。どうやったら日本人はうまく国際化していけるのだろうか。
TAKECHANG
今日は携帯電話からなので、化けがあったら、ご容赦。
Takechang の冗談半分 #007 | 92/ 3/ 2 22:59 |