Takechang の冗談半分 #300 | 93/ 2/16 9:30 |
ここ2日ほど,子供にもらったカゼで落ちてしまった(寝込んでいた意味)。
昨日はようやく起き出して,午後家族と大鹿村に出かけた。
長野県下伊那郡大鹿村大鹿村というのは,南アルプス山麓の村で,近年200年来続いているという農村歌舞伎で知られるようになったところである。
昨日は,それとは関係なく,今年のお花見のロケハンとチーズ工房を訪ねるのが目的,ついでに高感度フィルムのテストもやってみるつもり。
お花見はここ数年高遠城跡公園に行っているが,毎年観光バス数十台以上が押し寄せているから,ついに嫌気がさして今年は行き先を変えようということになったのだ。
候補地はこの大鹿村の大西公園。ウチからだと約20km南アルプスに入る。
ここは30年程前,昭和36年に集中豪雨による災害で大西山が山体ごと崩れ落ちて集落が飲み込まれるという災害があったところだ。
いまはそれを記念し,また亡くなった人の供養のために観音像とその下に桜1000本以上の公園が出来ている。
なかなか広い公園で,規模の上では高遠公園に負けないと思われる。知名度と場所からどうみても,こっちの花見の方がすいている事になると思う。
今年はやっぱりここにしようということに決定した。
目の前の小渋川の上には,南アルプス最高峰赤石岳(3120m)がそびえる雄大な眺めである。
写真のほうだが,既に大西山に日が沈んだので南を向いている観音は完全に逆光になっている。このような条件で観音に焦点をもって来るとオートフォーカスはフォーカシングできないようだ。補助光もあるのだが,到達距離は数mしかないので,高さ5〜6mもある観音の全体が入るだけ引いてしまうと届かない。
暗い条件,逆光などはオートフォーカスの苦手とするところである。
MAC Expoでも,何回かAFで焦点が合わない事態になったのはこれと同じケースのようだ。フラッシュを強制OFFにしていると,補助光もきかない。
こういうときは,マニュアルでピント合わせして,絞りの補正をしてやるしかない。
最近,近眼がひどくなってマニュアルフォーカスにちょっと自信がないので,できるだけオートに頼っているのだが,こういう時は自分の目で合わせるしかないのである。
視度補正レンズをファインダーに付けなくてはいけないのかもしれないが,台湾までには間に合いそうにない。
また,ショーの室内など暗い場合はシャッター速度も遅くなるので,ブレをおこし易くなる。
これに対しては,レンズの明るいのは高いから,フィルムの感度で対抗するのが,いまの現実的な解になる。
夜,6畳間で60W蛍光灯の照明下で,ISO1600のフィルムはだいたいf4で1/60のシャッターを切ることが出来る。
ショー会場などはもうすこし明るいかもしれないから,それなら1/125が使える。このぐらいならば,まず手持ちでも大丈夫であろう。
また,昼間の明るい条件の場合はf22で1/1000ぐらいのシャッターが切れる。僕のカメラはちょっと旧式だけど1/2000のシャッターはあるから,一応大丈夫。
こうしてみると,ISO1600のフィルムで結構汎用に使って大丈夫そうだ,と思えてきた。いまの安物一眼レフの暗いズームに対する救世主的なフィルムと言えそうな感じだ。
ただ,1つ問題がある。超高感度のため,空港のX線照射を避けて下さい,となっていることだ。
プロテクトバッグというのを売っているが,だいたいのは保証はISO400まで。ISO400なら何もしないで何回も通っているから大丈夫だと思うが,1600ではフィルムの包装に注意書きがあるからちょっと心配である。
写真用品のカタログを調べて,西ドイツHamaのFilm Safe XというフィルムケースがISO3200までプロテクト保証というのが分かった。
近所の写真屋には在庫はなくて,金曜日ぐらいになるという。台湾に間に合うかどうか微妙なセンだ。
ヨドバシとかなら,在庫してるのだろうか。ならば,成田に行く途中で買って行けるのだが。とにかく,どこでも手にはいるのはISO400までだから,1600はとりあえず何本かはもって行くことにしよう。
あと,今日の目的のもう1つ,チーズ工房Alp Kase(ドイツ語で山のチーズの意味だそうだ),ここは捜し歩いても分からなかったので,村の観光案内センターで聞いてみた。
大西公園から,さらに車で15分ぐらい南アルプスにはいるのだということだ。途中には,後醍醐天皇の子,宗良親王の宮である信濃宮神社がある。
ここでさえ,なかなかの山奥なのに,チーズ工房はそうかんたんに分かるようなところではない。
とにかく,観光センターで教えてもらった目印を頼りに行ってみると,とても人家のありそうとは思われない,林道の舗装が切れた行き詰まりに工房アルプカーゼがあった。
チーズ工房 アルプ・カーゼここでは,牛と山羊を山の斜面に放し飼いにして飼っている。その乳がチーズの原料になっているわけ。
店主の小林さんはなんとなく,あのトンキラの松本さんをほうふつとさせる人物。やっぱりIターン?でここにやってきたのだという。
作っているのは牛と山羊のゴーダチーズで,かなり硬いやつ。
山羊のはそうとうにクセがあるから,この臭いに馴染めない人には難しい食品かもしれない(しかし,赤ワインとこれがよく合う)。
松本さんと同じように,春先から夏にかけてからは牧草の世話などがあると,牧場に出てしまうから,店は勝手な時に休んでしまうという。今日はたまたまやっていてラッキーだった,と言われてしまった。
きっちり出る時間が決まっていて,帰りも決まっていて……というサラリーマン生活の対極にあるような山の牧場生活である。
しばらく話しこんでいるうち,またまた買ったのと同じぐらいの「オマケ」をもらって家路についた。
どうも,こういう生活をしている人というのは,「モウケ」とかいうのが二の次になっているようだ。せせこましい,そういうものを重視するフツーの生活,というのと縁を切りたいためにここにやってきているのかもしれない。
うらやましいような,でもやっぱり僕にはできそうにないなあ,という感じのアルプスのチーズ牧場生活であった。
竹中 俊
Takechang の冗談半分 #300 | 93/ 2/16 9:30 |