Takechang の冗談半分 #318 | 93/ 2/24 1:58 |
今日は平日であるが,故宮行きのバスはひどく混んでいる。
この前,World Trade Centerから乗ったバスは日本のと同じようにLED式の次の停留所の案内板が付き,さらに次の停車のアナウンスがあった(ただし中国語)。
しかし,それ以外の国父紀念館行きのも,このバスも何の表示もないし,もちろん何のアナウンスもない。
おまけに混んでいて外もよく見えないから,どこを走っているのか分からない。というわけで,観光客の場合,大変でも歩いて一回は下見しておくか,タクシーにするかが無難なのだろう。
とにかく今回は終点で下りればいいわけだから,一応安心である。
急発進,急停車をぎくしゃくと繰り返しながら,バスは約30分ほどで故宮前に到着。
しかし,あれで事故も起こさないのだから,うまいんだか下手なんだか良く分からない台湾の運転手である。止まるときも,必ずほとんどバンパーが当たるぐらいの位置に急停車しないと気が済まないらしい。
國立故宮博物院故宮博物院は深い緑の森をバックに4層の中国式建築である。
例によって,なんたら先生の巨大銅像がどうぞうと言って迎えている。
台湾の特徴としてどこにも必ず巨大銅像が立っているというのがある。
国父紀念館では孫文の巨大銅像があるし,中正紀念堂には蒋介石総統の巨大銅像がある。どちらも高さ10mちかい巨大なものだ。
このどちらもMAT(ウルトラマンの警備隊)のような格好をして,銃剣を持った衛兵が立っている。ヘルメットが銀ピカで,太くて白いベルトがまるでアンヌ(あ,こっちは男の衛兵だけど)である。
2人が像の左右に立っていて,まったく動かないのでこの衛兵も像だと思ってしまう。しかし,実はこの2人は生きた人間で,1時間に1回の衛兵交代の時だけ動き出す。
付き添い?の1人に連れられてやってきた2人と交代の儀式を行うと,また1時間銅像のように立ち尽くすのである。
ま,と言っても故宮のは衛兵はいないんだけど。故宮は入場代$40。館内の写真撮影は禁止で,カメラは入り口で預けなくてはいけない。
昔,ルーブルでも禁止の所,隠れて写真を撮るという悪行(でも,フラッシュはたいてないよ)をやった僕だけど,ここではとても無理。
各部屋に学芸員が目を光らせている。よって,故宮内部の写真は無しである。
1Fは青銅器,甲骨文など。所蔵品は70万点もあるという事だが,展示されているのは,そのうちの約1万2千点。
まあ,せっかく見に来たのはいいけれど,僕は美術品の知識は皆無だから,骨文など見ても「アラ,こんなところに牛骨が……」ぐらいしか思い浮かばない(これは,ニッセイレディの知子さんがやっているハッシュドビーフのCMモジリね)。
2Fの陶磁器などは,なんか昔オヤジの家のトイレにこんなインジゴカラーの水入れがあったなあ,というぐらいな感慨しかない。
とはいえ,約3000年前の器類が完ぺきな形で残っているのはすごいと思う。それがまたハンパな数ではない。
日本人の団体もここにはさすがにいっぱいいて,大体,オジ,オバクラスの年齢である(中正紀念堂や国父紀念館では,日本人はほとんど見かけなかった)。
ヨーロッパとかに出没するという2人連れ(若い女性)とか,卒業旅行のセイネンなんてのはほとんどいないようだ。
若い人は少なくないが,大体地元の人のようだった。
で,日本のオジ,オバ団体には大概日本語ガイドが付いている。
ガイドは故宮をいったいどれだけの時間で案内するのか知らないが,とっとと駆け足で引き回していく。あれでは,たぶんゆっくり見る暇なんてないだろうなあ,と思う。
地元の人はガイドなんて無しで,好きなペースで見ていく。これは,中国語と英語の案内はかなり詳しく書かれているため,ガイドなんてなくてもかなりの知識が得られるからである。
英語表記があるから,アメリカなどの人が多そうか,というとあまりたいした数ではない。
なんだか,日本人は英語が読めないから,一応国際化をしてますよ,というアピールに英語版の案内は付けておいて,圧倒的にいちばん多い日本人の観光客からはガイドでかせごう,という方針なように思う。
さすがに,お互い漢字の国の人だもの,バスに書いてある「下車時請注意後方来車」なんてのは意味が分かるが,まともな文章だとなかなかそうはいかない。
だから,一人旅の僕は英語版と中国語版の案内を両方見ながらいくことになる。
Double vase with coiled ch'in dragon pattern in ten-t'sai enamels.
などという説明と花瓶というのをみて,なるほどVASEとは花瓶のことであるか,などど故宮で英単語を覚えたりなんかしているのである。
2Fの残りの半分は花鳥図(墨絵のようなやつ),書画である。
あと3Fに行くとJADEという単語によくぶつかる。これは玉というかヒスイのことらしい。
そのほか,3Fの珍芸コーナーには象牙の細かい加工物とか,扇などがある。扇の前でガイドがお説教をたれていた。
「大体の日本の文化は中国から輸入したものですが,扇は遣唐使が日本から持ってきて中国皇帝に献上したことによって広まったものです。日本にも,オリジナルの文化があることを大いに誇ってください。今日はどうもありがとう」だって。けなしてるんだか,ほめてるんだかなんだか分からない。
午後も1時を過ぎると,なんだか数十台の観光バスがどっと押し寄せてきて,騒然としてきた(午後,故宮にくる観光コースがあるのかもしれない)。
朝から雨がしょぼしょぼ降って寒いので(来たときは24度ぐらいあって,やっぱり台湾は暑いと思ったけど,今日の陽気などは日本に近いかもしれない。僕はシャツの上にセーターを着ただけだが,地元の人はダウンジャケットまで着込んでいるひともいる)できるだけあちこちうろつきたくない。
で,故宮を出た後は隣の至善園へ。入園料は$10。
ここは日本なら自然園と書くだろうというような,真ん中に大きな池があって,錦鯉がいっぱいいて,カモや(矢のささったのはいなかった),アヒルなどが飼われているところである。
あちこちにあずまやがあり,故宮は飲食だめ,タバコだめ,なので地元の人はここで弁当を食べるようだ(故宮のレストランは$100ぐらいはするので)。
あと,奇異に思ったのは,何組もの結婚式直後のようなカップルがあちこちで写真撮影をしていること。
それも,雨がずっと降り続いている中,ウエディングドレス姿で平気でやっているのである。
友人なのか写真屋なのか良く分からない連中が数人づつ付いて,いろいろなポーズをつけたりして何枚も何枚も撮る。
あれではほとんどびしょぬれ状態だと思うが,それでもシャーワセ状態の2人らしい。ああいうところで写真を撮ることって,かなり重要な結婚記念なのだろうか。
次は故宮道向かいの大陸古物珍覧展へ。
ここは国立とかいうようなものではなくて,プロモータが秦の始皇帝陵から出た遺物を借りてきて見せているというものらしい。
期限82年6月5日までとなっている。82年というのは明国歴で今年は82年なのである。
入館料は$200。民間のだけあって高い。
しかし展示物はなかなか。兵馬俑の兵隊や馬がある。
これは,本物の兵隊や馬を殉死させるかわりに,陶器でできたのを陵に一緒にうめたものだ。その数6000というから,大陸でやることはハンパではない。
そのうち,ここには兵隊が7体,馬が2体来ている。
陶器といっても,原寸大である。兵隊は高さ190cmぐらい。馬も体高でそのぐらいだから,ほとんど実寸といっていいだろう。
これが6000もというのはちょっととんでもないスケールである。
あと2Fには
Jade suit sewn with gold thread of prince Liu Sheng.
とうわけでいってみればこれはツタンカーメンの中国版という感じか。
花札ぐらいの大きさのギョク(またでてきたjade!)を金の糸で2498個縫い合わせてできているきょうかたびらである。むかし,最近評判を落としたNHKスペシャルかなんかで見たような気がする(出土年代は1968年)。
これは6月以降は大陸の中国に行かないと見れないだろうから,なかなかいいものを見られたという気がした(でも,これだけで$200は高い)。
なお,ここは観光バスのコースには入っていないのか,日本人は来ていないようだった。
故宮正面玄関でおろされてしまっては,なかなか気がつきもしないかもしれない。
帰りもまたバス停を探して304系統に揺られて帰ってきた。こーゆーものにはぼくはまったく疎いのを実感した。
なお,この路線はちょっと高くて$20。
竹中 俊
Takechang の冗談半分 #318 | 93/ 2/24 1:58 |