Takechang の冗談半分 #356 | 93/ 4/14 23:47 |
父の家の近所のおじいさんが亡くなり,父の代打でお葬式に参加してきた。
都会ではお葬式の場合,斎場などの施設を使うし,仕切るのは親戚関係と思うが,田舎では「隣組」が葬儀を仕切る。
さすがにお葬式ゆえ,やたらカメラでバシャバシャやるのははばかられて,写真はないのだが,ちょっと珍しいかもしれないので,一部始終をお伝えしよう。
まず,お葬式は日程の段取りからはじまる。おとといの夜,亡くなった。大腸ガンということであるが,83歳ということでまあ,天寿を全うされたといっていいだろう。
亡くなった連絡を受けると,隣組の代表者が隣組全員に召集をかける。昨日の午後,召集がかかった。法的に死亡時から24時間は葬儀はできない。
それ以降ということになるが,明日15日は友引ゆえ,葬儀は忌み嫌われる。
あさってか今日かであるが,早い方がよかろう,ということで今日に決まった。
きょうび,さすがに田舎でも土葬は許可にならないから,火葬場の予約がいる。幸い,今日の朝一番の予約が取れた。
さあ,葬儀の準備である。田舎ではACOOP(農協)が葬儀関係もやってくれる。ただ,祭壇その他は父のところの農協ではやっておらず,葬儀社も頼むことになった。通常,葬式の炊き出しなどはすべて農協でやってくれるが,たまたま農協の研修とかさなり,これも隣組がやらねばならないことになった。
さあたいへん。材料関係は農協が揃えてくれるが,実際に飯を炊いたり,葬式饅頭のテンプラ(当地では,どういうわけか,アンコの饅頭をテンプラにする)をあげたりは隣組でやらねばならない。
田舎のご多分にもれず,ほとんどリタイヤした老人(60歳以上)しか,昼間の時間があるひとはおらず(若い人はだいたい勤めにでている),ぼくが一番のワカゾウなので,いろいろな役目が回ってくる。
昨日はとにかく「ゆかん」,ホトケ様を棺に納める。テンプラや海苔巻きなどを作っているうち,親戚やら,ご当家の子息やらが集まってくる(田舎の常で,若い人は都会にでている家が多い。この家でも子供はすべて都会にいて,田舎には年老いた夫婦がいるだけだった)。葬儀社から配達された棺にホトケを納める。
ホトケと書いたが,父の家のあたりは,昔国学がさかんだったところで,仏式ではなく,神道の神葬祭である。
(ただし,わが家の場合,向かいが寺ゆえに仏式である。これはその家により,何でやるかがあるようだ。)
従って,神官がやってきて,式を取りしきる。詳しい事はぼくもわからないが,神式の場合は榊というので,紙のビラビラを付けた木とかを使い,お経のかわりに神官がノリトを唱える。
なんだかんだとやって,棺にホトケを納めて昨日は終わった。
今朝は早朝6:30からである。葬儀社の霊柩車が7時にくるので,前もって準備をするというわけだ。最近起きるのは7:30ぐらいにしていたので,なかなかきつい。
6時に目覚まし時計を3つかけてやっと起きた。
葬儀は13時からであるが,それまでに葬儀場の公会堂とかを整えて,昼食を親戚縁者にだせるようにしなければならない。
お赤飯(80過ぎで亡くなったので,天寿を全う=めでたいということで,参加者にはお赤飯を振る舞う習わしのようだ)を炊いたり,添付する汁を作ったり。
あと,祭壇は葬儀社でやってくれるが,会場の道案内板やらも隣組でやらねばならないことになっている。
11時ぐらいから順次,葬礼のために見えた人に昼食を振る舞う。
数十人ぶんを用意したが,すぐに無くなった。
追加を用意する。
葬儀用の榊の木に幣束を付けたものも数十個必要である。
(神式では葬儀の時,参列者全員がこれを持つようである。実際には葬儀に参列したのは親戚,縁者のみなので下働き?のぼくにはよく分からない。)
外部の縁者の参列は受付があって,記帳して,と仏式と変わりない。
電報とかレタックスとかの整理も隣組の役目である。
2時ぐらいには葬儀終了。あとは親戚が隣組の人に食事や酒をふるまう,という風習である。これが結構長い。
昔は葬儀や結婚式などの特別な時しかご馳走というものは無かったので,みんなこの時にたらふく飲んで食べた,というのの名残であろう。
これが夕方まで。
あと,農協に返すものは隣組で返すとかの片付けがある。夜になってようやく解放された。
ということで,お葬式に振り回されたこの2日間であった。
竹中 俊
Takechang の冗談半分 #356 | 93/ 4/14 23:47 |