Takechang の冗談半分 #361  93/ 4/22 13:53

プータロー日記 13>
続ライカアダプタ

最初にちょっと脱線を。

この前宇天皇の写真で「表示位置がずれてしまう」という話をして,原因が分からないと書いた。

そしたら,さっそくMacでJPEG画像を見た人から連絡を貰って「ぜんぜんおかしくない」と言われた。

それでは表示ソフトの問題か? ということでちょっと調べてみた。

すると,表示ソフトにJPEG File Viewerを使うとおかしくなるが,WINECJでは正常に表示されるということが分かった。

使っている環境はWin3.1(英語版)の上である。OSはDOS/V5.01で,CHEV/USしただけの状態。

ということで,どうやら表示ソフトが特定の画像データの時におかしくなるのではないか,といまのところ思っている(いろいろな環境がテストできればいいのだが,手持ちがないので,特定できない)。

さて,もう1つ。焦点距離が合わないのを合わせる方法として,ワッカのほか,実はもう1つ方法が考えられる。

レンズのうしろに物をつけるのが困難ならば,前に付けてやればいい。

レンズの交換できないコンパクトカメラでは,この方法で,フィルタを付けるのと同様に前にレンズを付けてやり,望遠なり,広角なりを実現するようになっている。

ライカも58mmのフィルタが付くようになっているのだから,この代わりに58mmのクローズアップレンズの適当なものを付けてやればいいのではないか。

ケンコーのクローズアップレンズは2000円程度なので試してみるのには手ごろな物件である。

「こりゃいい」と我ながらすばらしい思いつきにコーフンしていると,そこにちょうど高田さんから電話。

「ブツは届きましたか」という訳である。ライカレンズの話になって,焦点が被写体距離10mぐらいないと合わないこと,でそれを解決するために,クローズアップレンズを付ければいいのではないかと思うことを(得意になって)話してみた。

即,「そりゃー,だめですよ。ライカレンズのよさが死んでしまう」と言われてしまった。

たしかにレンズがライカのイノチであるからして,ヘボい光学系を入れるのは良くないという考え方には納得できるものがある。

で,せっかく思いついた安くレンズを合わせる方法だったのだが,残念ながらボツということになった。

となれば,もうワッカをなんとかでっち上げるしかない,ということから始まったのがワッカ作戦なのである。

で,従兄弟のセンはもろくも崩れさったので,ほかをあたる必要がある。

ぼくは昔,地元企業で生産技術の仕事をしていた事があり,いろんな冶工具類を作ったものだ。社内にも加工用の旋盤やフライス盤は用意されていたが,なにぶんぼくは機械系の勉強をしていないから,うまく使えない。

ちょっと複雑な物の加工だとすぐにお手上げだった。

で,こういう時に頼りになったのが,試作専門の加工屋さんである。

もう6〜7年ぐらい行った事がないが,たまに近くを車で通ると工場はあるから,また頼めばやってもらえるかもしれない。

ということで,ここに行ってみることにした。

こういう所に行く場合に必ず用意しなくてはいけないのが,仕様図面である。

「どういうものを作りたいのか」これを加工屋さんに伝えるには言葉ではダメで,図面があれば一発で分かるのである。

本当はきちんとした機械図面であればいちばんいいわけだが,製図板もCADも持っていないから,フリーハンドのいい加減な「ポンチ絵」レベルのものだ。

この程度のものでも持参するとしないでは,「単なるシロート,一昨日きな!」という対応から,「とりあえず話ぐらいは聞いてやるか」という対応に変わる。

とにかく,話を聞いてもらえればこっちのものだ。大体こういうところのオヤジというのは,機械加工が好きな人が多いので,こういう特殊もので,加工技術がいるもの,という注文は腕がなるものなのである。

あとは放って置いても自動的に「材料は何でやるか」とか,「表面仕上げは」とかこっちが迷っていればおやじさんが勝手に決めていってくれるぐらいのものだ。

あと,もう1つ大切なのは,あまり大きかったりあるいは逆に小さかったりする加工屋はダメということである。

夫婦二人でやっているようなところは,生活があるので,流れ物の大量加工でしのいでいるから,興味は持ってもこういう個人の1品ものは受けてくれない。

大きいところも事業として1品を受けていれば別だが,そうでないとやはりダメだ。

従業員が数人いて,まかせておけば通常の仕事は動いてしまう,機械好きの社長は遊んでいても会社はダイジョーブ,といったところがいいのだ。

社長のおやじさんがやる気をだせばもう心配はいらない。どおせワンマン企業であるから,もう話は決まったものである。

で,ぼくが知っていたところはまさにこの条件ピッタシ。1日めに行ったところでは,かねて顔見知りのオクサンはいたが社長はるすで,「たぶん出来ると思うけど,社長が帰らないとわからない」というものだった。

とりあえず,ポンチ絵の図面を置いて帰った。

次の日。7時前に電話がなって,元気な加工屋の社長の大声が飛び込んできた。
「現物持って,きてみなよお。」やり! このぶんなら行ける。

つーことで,さっそく長城とライカレンズ持参でカケツケてみた。絵と現物を見て,ひとしきり「ウーン」とうなった社長は,「うちでもできる。だけど光学機械は仕上げが大事だから,専門の所を紹介してやるから,行ってみな」という。

さらに,ぼくの図では材質:アルミ,表面:黒アルマイト仕上げということにしてあったのだが,「現物合わせの加工では,アルミでは山をつぶすことがあるから,ネバリのあるしんちゅうにしたほうがいい」などというアドバイスもしてくれた。

これに従って図面を修正し,なぜかモーテル街のまんなかにある光学機械専門という加工屋に行ってみた。

さすがに,光学機械専門である。パートタイマーらしいおばさん従業員が削っているのは,Cマウントのビデオレンズの取付部分である。

社長のオヤジさんに,ぼくの知り合いの加工屋から紹介されたこと,この図面のものを作りたいことを告げると,いとも簡単に「金曜日にできるよ」となった。

ヤリ! これでライカレンズ+長城のフシギカメラが活躍できることになりそうになってきた。

金曜日は出かけるから,土曜に取りに行くことになるが,どういう具合にできるか楽しみである。

竹中 俊

Takechang の冗談半分 #361  93/ 4/22 13:53