Takechang の冗談半分 #365 | 93/ 4/29 18:31 |
このところ,ぼくはほとんど好々爺状態だった(あ,そんなに歳でもないが)。
きょうだって,ぼくには関係ないゴールデンウイークつものが始まったので,午前中保育園の仲間が集まって近くの集会所で「おやこ昼食会」というのがあった。
これは皆でカレーを作って食べようというのが目的。保育園の子供の親だから,20代から30代くらいの主婦が主力製作要員である。
うちは,仕事の関係で主夫の出場である。
この年代の主婦は意外と頼りにならないことは,この前上の子の卒園記念集会(このときはまきずしといなりずしを作った)の時で分かっている。
あの時は,まともに真ん中に具が入る人は皆無だったし,それどころか,初めてという人までいた。
今回はネタがカレーだから,さすがにそういう人はいないが,やっぱり「バーモントカレー」が出てしまった。
いったい,「リンゴとハチミツがとろーりとけた」ようなものがカレーといえるだろうか……。
まあ,これは好き好きだからしょうがないとして,今回もまた「水はどれだけ?」「やさいの切り方?」なんてので迷っていたりする。
しょうがないので,今回もまた主任料理人として製作をやってしまった。
「Takechangはえらいのねー」「なんでもできるのねー」などとおだてられて「ラリホー」とかいってやっていたのである。
よく考えてみれば,これって単にお便利にコキ使われていただけにすぎない。
(ま,これを称して好々爺状態というのである。)
ところで,その好々爺であるが,午後は一気に大魔神に変身して怒ってしまった。
それはこういうことである。
このところ,画像を大量に作成する。で,いまのところ画像作成はPC286,確認をISAマシンで行って,またPC286でアップロードするというやり方をしている。
このとき使える媒体はというと2DDのフロッピーなのである。286もISAも3モード化してないので2HDは使えない。
ということで,2DDのフロッピーが大量にいる。こういう時,FDを売っているところは最近まで田舎ではディスカウントストアぐらいしかなくて,しかもどこが「ディスカウントだ!」というぐらいの1枚300円もしていた。
だがこのところ,大手の家電チェーンの大型電気店というのがあいついで開店した。どこもワンフロア5〜600平方mぐらいの2Fがパソコン売り場である。1Fが同じ広さで総ての家電の売り場なのだから,これはものすごくパソコンに力がはいっているということである。
田舎ではまだ普及率の低い,この高額商品を売り込もうということなのだろうか。きょうはつい先週開店したほうの店に行ってみた。
ここの「3.5インチ2DDディスク 1枚90円」という新聞広告を見掛けたから。ごく安ともいえないが,まあまあどこと比較してもそこそこな値段ではないだろうか。
ディスクは無事20枚買えたので,展示されているパソコンを見て歩いた。
ぼくは新品のパソコンつーものはどうせ買えないし,ぼくが使いたいような画像系のソフトが具合よく動きそうな日本製はあまりないからそれほど関心はない。
それでも,一時こういう家電系のところで売っているのというと98とTOWNSぐらいだったが,かなり品種がふえた。
もちろん,最新の640*480で256色出る98もあるし,TOWNSのいま売り出しのマルチメディア機器マーティもいくつか並んでいる。
IBMのプリンタ内蔵ってやつもあるし,Macだって出たばかりのカラー一体型も並んでいる。EPSONも東芝もある。
さすがに,COMPAQだのDELLなんかはないけど,一時の「PCといえば98」という事態から脱してきているのがわかる。
この中で,ぼくは東芝のDynaBook 486EというののTFT LCDバージョンに注目した。これは「480ラインのダイナブック」シリーズで,おおむねISAマシンに近い。で,TFT LCDがついている,うまくすれば,持ち運び用の画像用PCになるのではないか?
カタログスペックでは「最大184,320色中16または256色同時表示」となっているのである。
ただ,この表示がくせもので,実は僕が会社員だったころ,発売直後に購入したこのマシンを使ったことがある。
Winがインストールされているので,「JPEG VIEWなどを使えば画像が見れるのではないか?」と考えた。
ところが,たしかにJPEG VIEWは動くものの16色のカッ飛んだ絵しか出てこない。どうやら表示ドライバが16色しか対応していないのである。
Winのソフトウエアセットをくまなく探してみたが,256色のドライバというものこの時点ではなく,従ってこのマシンは「ハードは256色出ることになっているが,実際には16色でしか使えない」というマカフシギな物件だったのである。
過去にもこういうものに出会ったことがある。EPSONのPC386M。これはVRAMの裏表を1枚ぶんにして256表示にする機能が「ハードウエアには」あった。
ただ,この使い方の詳細はEPSONから発表されなかったし,この機能を使えるようにするドライバだとか,この機能を使ったソフトも発表されなかった。
(機能を独自に解析して,256表示できるようにしたフリーソフトは存在する。)
NECのH98S8。これはオプションの拡張ビデオメモリを装着するとやはり256色に「ハードは」なった。
これも当初はWinに256色用のドライバがなく,オプションを買っても使いようがなかった(そのうち,Winのバージョンアップで使えるようになった)。
なんでこういうマカフシギなことがまかり通るのか? あるいは当時は98の標準が16色だから……?というような遠慮があったのだろうか?(ならば,そんなハードを売り出さなければいいようなものだ。宣伝文句で256色使えるということはアナウンスするのだから,これを見てこの割高なマシンを買った人も多いのではないだろうか。ハードは確かに256色だが,実際には使えないというのは半分詐欺のようなものではないだろうか。)
で,この東芝である。現状はどうなっているのか知りたかったので,店員に聞いてみた。
それも,店内を観察して,エラそうにほかの店員にあれこれ教えたり,「このサイリックスのCPUで286を486にするボード,仕入てみたんだけど案外でなくってねえ……」などということを声高に喋っている男を選んで,である。
経験的にこういう家電系の店の従業員というのは「何もしらない」ヤツが多い。昨日まで冷蔵庫を売っていた男が何も習わなくてパソコンの知識が付くわけがないのである。
だから,普通はこういう連中にものを聞くなどという「愚挙」はやらないが,この男はたまたまちょっと物知りのように思われたので,聞いてみたのである。
「あのお,あの東芝のカラーダイナブックについてなんですが」と声をかけると,「なんです?」と男はエラそうに答える。
思えばこの時点でこのバカモノとの会話を切り上げるべきだったのだろう。
でも,続けて「あれは256色表示できるんですか?」と聞いてしまった。「できますよ,カタログに書いてあるでしょ」と男はカタログを見もせずにいう。
「しかし,どういうソフトで使えるんですか?」さあ,このあたりからこの男はあやしくなるのである。
「あー,DOSからじゃあ使えなかったかなあ,でもWindowsなら使えるよ」という。
「でも,2月ごろ会社で使っていたんだけど,東芝純正では256色のドライバは付いていなかったんですがね。いまはあるんですか?」と僕。
「いや,新しいアナウンスは東芝からないけどね……,なんかサードパーティ製のソフトでできるんじゃないかなあ」と男。「どこの,なんというソフトですか」と尋ねると,男はこれには答えないで,「でも,もうすぐWin3.1になるから……」という。
「それは,Win3.1になれば東芝が256サポートしたドライバを作るということなのか?」と僕も詰問調である。
「いや,3.1はマイクロソフトから出るからどこのハードでも使えるはず……」と男がいう。「しかし,ディスプレイドライバのチップは東芝独自の筈,ならばそのようなハードウエアのデバイスドライバは東芝がサポートしなければ出ないのではないか? それとも,マイクロソフトがそういう機種依存のドライバまですべて提供するのか?」
「東芝からはアナウンスはない。都合の悪いことは言わないからね」と男はトーンダウンする。
「つまり,現在,このハードウエアでは現在256色は出せないということですね。」僕はちょっと強く言った。
男はこれには答えなかった。かわりにこう言い放ったのである。「あんな,640*480の画面じゃあ,Windowsはまともにゃ使えんよ。」
どう使おうが客の勝手である。僕はこれにはちょっとむっとして,何も答えずに店をでた。
こんな男が「インストラクター」なる名札を付けていて物が売れるのだろうか?
販売の信用というのは知らないことは「知らない」,出来ないことは「できない」と,はっきり言えることから始まる。
客の質問に答えられない腹いせに「んなものはだめだ」的な発言をするなどというのは言語道断である。
ただ,過去にも何度かこの手の対応をする店員に出会ったことがある。それが決まってパソコン屋だった。その店の範囲内では「一番知識がある店員」に多い。
「ハード対応,ソフト未対応」みたいなトボけた物づくりをするメーカーもメーカーであるが,こういう売り方をする販売店も販売店である。
PCの売上げが下がるのも当り前という気がする。「田舎はPCの普及率が低い(から売れる)」と当て込んでこのような店舗を出したのだろう。
たしかに普及はしてないかもしれないが,しかし,今や「情報は田舎も都会もない」。同じようにやってきているのである。それを忘れてはいけない。
竹中 俊
Takechang の冗談半分 #365 | 93/ 4/29 18:31 |