Takechang の冗談半分 #571  94/ 7/29 0:24

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個人でインターネットったって,

さて,「ビンボーだってインターネットしてみせるぞ」と大見栄を切ったのだが,とはいうもののいったいどうしたらいいのだろうといえば,実は皆目わかっていないのだ。

なにせ昨日,「VANの黎明期と同じようだ」,と書いたのだが,その場合,田舎は当然取り残されているので,ぼくのロケーションから「インターネットしてみる」のはことに難しいと予想される。単に日本から(つまりこの場合の日本とは東京の事)個人がインターネット接続しているというだけで,あまり例がないのであるから,まして田舎なんて知るもんか,なのである。このあたりで,もうすでに結構ビビルものがある。

のであるが,言ってしまった以上は「しゃーない,やってみるしかアンメー」なのだ。とにかく僕から見える範囲でいろいろとさぐってみた。

なんせ,この分野ではど素人だから,まずは一からのおさらいである。

まず,あちこちですでに書かれていることであるが,インターネットというのは,PC-VANとかのように,ホストが1つあるというものではなくて,ホスト同士をつないだネットワーク,つまりネットワークのネットワークとでもいった形態である。

で,いままでのところ,ここでいうホストは例えば大学のメインかサブぐらいのコンピュータとか,研究所とか研究機関とかいったところのコンピュータ(というわけでせめてミニコン以上の)というようなものになっているようだ。

だから,簡単には,大学にいたり,何かの研究所などにいて,そこのコンピュータにアクセスすることができるならば(ということは,IDとパスワードがある,ということだ),それは即インターネットにもつながる,ということになる。

もともと,UNIXマシン同士をつなぐ研究から始まったものらしいから当然といえば当然であるが,フツーの,一般大衆にとってはこれが大きい最初の関門である。

大学にも研究機関にもいない上に,UNIXなんぞさわったこともない,ぼくなんかさらにカネもない,おまけに知識もない,いったいどうするんだ,ということである。


Historical Maps of
ARPANET and the Internet

ものの本の受け売りをするとインターネットは米国防総省(ということは軍)が軍事目的で開発したネットワーク手法から発展し,多くの研究機関が改良を加えてきた,ために研究機関などがネットされている。

でもってインターネットのポリシーはAcceptable Use Policyということで,要するに基本は営利目的に伴う利用は禁止,だったのである。

だからして研究機関などが成果をただ発表するような形で使われたりしていて,一般大衆とは縁のないものだったわけだ。
(なぜタダでもそうするかというと,発明,発見とか,特許とかいうものには「先に出した者が優先」という原則がある。だから郵便かなにかで成果を送っているよりか,インターネット上にとにかく発表してしまって,一番のタイムスタンプをを押してしまう,というのが,自分の権利を守ることになるからである。)

で,そういう意味からすると,最初の話とはだいぶ変わって来たのだろうけど,最近のいわゆるスーパーハイウエイ現象以後の火のついたインターネットユーザの増加というのは,つまりホストを運営していて,それに対するアクセスの権利を切り売りする会社というのができてきたからだ。

でもって,そのホストはインターネットにつながっているのだから,つまり単なる個人の人でも,その会社のホストの利用権をもてば,インターネットにアクセスする道が開ける,と,こういうことである。

しかも,高速とか大容量ということを考えると,そこの会社までの接続だって,光ファイバーだ,専用線だ,という話になってしまって,とてもビンボーな個人に手の出る話ではないのだろうが,とにかくつながりゃいいんだ,という観点でみれば,パソコン通信と同じく公衆回線経由でつなぐという手だってあるわけだ。

小川さんがホテルの1室から接続してみせてくれたインターネット実験というのも,実はこういうことで,公衆回線から入っていくのだから,ホテルの電話で(PC-VANに入るのと同様に)つなげるわけなのである(といっても,14400とか9600bpsというぼくには縁のない高速でつなげていたわけだが)。

で,こういうサービスをする会社のことを,Providerと言っているらしい。

この手口の場合,要するにいままでのBBSにアクセスしていたシステムを,ほぼそのまま使うことでインターネットにアクセスできることになる。

少なくとも,ハードウエアとしては,Windowsが走る程度のPCがあって,いままでPC-VANとかにアクセスしていたモデムがありさえすれば,ほかに何かを買い足したりはいらないことになる。

これが,ぼくが「貧乏人でもなんとかなるかもしれない」と考えた理由だし,ハードウエアに特に投資しなくてもいいというこの事実が,アメリカなどで爆発的にインターネットユーザが増えている(増えられる)理由の大きい1つだと思う。

また必要なソフトウエアについては,いまはまだ完全にはわかっていないけれど,あのMosaicもフリーソフトなのだそうだから,これまたあまり大きい投資はいらないのではないか,というヨミはある。ついでに言うと,もう誰かが書いているかも知れないけど,いまダントツイチオシの?Mosaicというやつ,小川さんのデモでは,何度もハングアップしてしまうような場面に遭遇した。なんだか,イマイチ不安定なのである。

Cello

こういう時,もっと安定して動作していたのは,高田さんがアメリカのネットで見つけてきたらしいCelloというやはりGUIでインターネットを使うソフト(もちろん,これもフリーソフトだ)。幕張にはぜんぜんなくて,「ひょっとして日本でこれ使ったのは,GVMの合宿が初めてだったかも知れない?」と思っているのであるが? まあ,このあたりは実際に使えるようになれば,はっきりするはずだ。

さて,プロヴァイダサービスということをやっているところはアメリカにはいっぱいあるらしいが,日本にもいくつかできている。

結構いくつもあるようなのだが,有名どころというとIIJ,Spin(AT&T/Jens),InfoWeb(富士通)といったところらしい。

その外にも,黎明期の例にしたがって,いろんなところが参入を図っているらしい。インターロップの会場に行った利点は,こういうところの資料やら,連絡先などをいくつか調べられたことである。

とりあえず,資料請求などをして,「いったいぼくにも使える物があるのか」といった事をさぐってみることにした。これが当面の出発点である。

なお,GVMには小川さんという専門家がいるので,いつでも相談したりソフトなどのインストールその他お願いすることもできる環境なのだが,僕はこれはできる限りやらないで,すべてを自分でやってみるつもりだ。

専門家でもなんでもない,ぼくのようなど素人がどれだけやれるのかを見てみるのが最大の意義なわけだし,「やっぱり専門家でないとダメ」なのであれば,端からインターネットなんて普及するわけがないと思うのである。

竹中 俊

Takechang の冗談半分 #571  94/ 7/29 0:24