Takechang の冗談半分 #572 | 94/ 7/30 7:32 |
インターネットに大学とか研究所以外からアクセスするための「ダイアルアップサービス」といえば,今必ず名前が出てくるのがIIJ,インターネットイニシアチブという会社である。
Internet Initiative Japan会社案内によれば,1992年12月に住友商事,伊藤忠商事,第一生命,SRA,住友銀行,三和銀行,富士銀行,KDDその他を株主に設立されている。
当初はインターネット接続という高速回線を利用したサービス,それから,UUCPサービスをやっていた。
注:どうも,英語系の技術用語というのは略語が多くて,聞けば聞くほど,さらに訳がわからなくなってしまうきらいがある。一度でもフルスペリングで書いてくれれば,まだしも意味がつかめるのだけど,UUCPなんたって門外漢にはなんのことやらさっぱりわからない。あちこち探して,やっと Unix to Unix Copy Protocol だということがわかった。これだって,実際にはなんのことやらわからないのだが,すくなくとも,UNIX間のファイル転送に関するもので,PCしか使ったことのないようなトーシローはとんとお呼びでないことは察することができる。
高田さんが,「垂直にちかい」とかかれているユーザー数の伸びが始まった1994年4月というのは,ダイアルアップIPサービスが始まった時である。
で,ダイアルアップIPサービスということは,つまり先日来書いている,「素人でも電話回線を経由してインターネットにアクセスできる手口」のことである。
これによって,アクセス可能なユーザの幅が圧倒的に広まったため,IIJのユーザも急激に増えているということである。
といって,折れ線グラフの形は急だが,実数は4月が400ほど,6月800弱とうところでたかが知れている(率でいえば2カ月で2倍という驚異的な伸びではある)。
要は個人か,またはそれにちかいような企業などはダイアルアップIPサービスが始まるまではとても手が出なかったのである。
さすが,いま売れ線のIIJだけあって,照会したらすぐ資料を送ってくれたのであるが(レスポンスが速いというのは商売が成功する1つの大きい要因である),それによると,いちばん遅い64Kbpsのサービスでも月額1回線あたり427,000円という接続料となっている。
だから,個人ではフツーほとんど長者番付クラスでもなければ?接続できるわけがないし,企業だってそれなりの規模でないととてもオイソレという金額ではない。
それが,ダイアルアップIPサービスでは,加入料が3万円,月基本料が2000円,通信料金は従量制で1分30円となった。
このぐらいの金額ならぼくだって持ったことがある(いつもあるわけではない)金額だから,そりゃーまあ裕福な個人(この場合,番付にのるほどでなくてもいい)や企業なら,とにかく使う気になればなんとかならない金額ではない。
これがダイアルアップIPサービス開始後,急激にユーザー数が延びている理由ではないか,とぼくは推測した。
ただし,分30円というのは考えてみると馬鹿にできない金額でもある。1日1時間使うとすれば,月には30時間。これだけ使うといくらになるか,というと30*60*30=54000円である。
このほか当然電話代もかかるわけだから,3分10円だとしても,10*20*30=6000円の電話代と2000円の基本料がかるのだから,けっきょく,トータルの月に30時間使う金額というのは,54000(接続料)+2000(基本料)+6000(電話代)の62000円ということになる。
実際にはぼくの場合では電話代がIIJまでといったら長距離になってしまって,さらにとんでもない金額になってしまう(注:IIJのAPは東京)。
このあたりが,この半年「インターネットなんぞはぼくには使えない」とビビって消極的になっていた理由である。
これがVANなら,2000円の接続料金に電話代を考えてもせいぜい1万円以内なのだから,あるていど頻繁に使うベースで考えるなら(たとえば,入っただけでまったく使わないというなら,IIJだって月2千円ポッキリである),これはケタ違いに安いのだ。
ということで,日本で使う限りどうやら「インターネットは安い」という常識はウソのようである。
お得意の「横並び」で,どこの業者もこんな値段ではとてもじゃないのだが,ほかの業者はどうなのだろうか。
竹中 俊
Takechang の冗談半分 #572 | 94/ 7/30 7:32 |